出産時に胎児が死亡したのは静岡赤十字病院の医療ミスだとして、県中部に住む40代の女性が運営母体の日本赤十字社に約6000万円の損害賠償を求めていた訴訟があり、静岡地裁(足立哲裁判長)で10日、同社が女性に5500万円を支払い謝罪することで和解が成立した。
訴状によると、女性は妊娠26週だった04年7月20日、腹痛などを訴え同病院を受診した際、実際は直ちに帝王切開が必要な常位胎盤早期剥離だったことに気付かなかった。その後も胎盤早期剥離の兆候が顕著だったにもかかわらず約10時間処置せず、胎児を死なせたとしている。
静岡市内で記者会見した原告代理人の青山雅幸弁護士は、「胎盤早期剥離は研修医の教科書にも書いてある。こんな基本的なミスは繰り返さないでほしい」と話した。同社は当初争う姿勢だったが昨年10月、地裁が鑑定を委託した産婦人科医が「治療は不適切」と報告し、和解を受け入れた。【平塚雄太】
毎日新聞 2012年2月11日 地方版