緊急特集 完全保存版 東京「震災避難マップ」で我が身を守る 巨大地震からどうやって逃げる、どこへ逃げる第1回 渋谷・世田谷・目黒・品川・大田区編

2012年02月11日(土)
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 耐震基準に問題があることを知っていたAさんは、すぐにビルの外に出た。次の選択肢は、前述した一次避難所や広域避難所への避難である。オフィス周辺のそれらの場所は熟知しておこう。また、土地勘のない外出先での被災に備え、掲載したMapのコピーを常時携行するのもお勧めしておきたい。

 しかしAさんは、家に残してきた家族が気になった。携帯電話やメールは通じない。家族は無事だろうか。そう思ったAさんは大岡山の自宅まで徒歩で帰宅することを決心した。大渋滞を横目にAさんは自宅を目指した。会社から自宅までは、桜田通りを直進し、環状七号線にぶつかって、右折するのが最短ルートだ。だが、このルートには大きな危険がある。途中、23区内で最も火災危険度の高い戸越一帯を突っ切らねばならないのだ。

「戸越周辺は古い木造住宅や工場が密集し、建物倒壊の危険が高く、いったん火事が起きたら付近一帯が火の海になりかねない。広域避難所である戸越公園も、そこが火の海になる可能性があるのですから、別の場所を選定し直さないと、関東大震災の時のように避難した住民が火災に巻き込まれて死んでしまいます」(前出・渡辺氏)

 迂回ルートとして、第一京浜(国道15号線)から環七に出る手もあるが、これも危険度は高い。東京湾沿岸に大津波が押し寄せ、山手線の内側まで浸水する可能性があるからだ。埋め立て地区では液状化による地盤沈下も懸念される。

 残るは、目黒通りから環七へと抜けるルートか、恵比寿ガーデンプレイス横を抜け、駒沢通りへ出るルートだ。

「道路はとにかく広い道路を選び、高架下は避けできるだけビルから離れたところを歩いてほしい。渋谷のセンター街や新宿歌舞伎町のようなクーラーの室外機や看板が無造作にぶら下がっている繁華街も危険です」(前出・渡辺氏)

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