緊急特集 完全保存版 東京「震災避難マップ」で我が身を守る 巨大地震からどうやって逃げる、どこへ逃げる第1回 渋谷・世田谷・目黒・品川・大田区編

2012年02月11日(土)
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(左)品川区二葉3丁目、4丁目
区は土地を買い上げ、防災広場の整備を進めているが、立ち退きを拒む住民も多く、整備は完了していない
(中)目黒区目黒本町5丁目
区の都市整備部が主導して建て替えを促している。また街頭消火器を置く間隔を狭める対策も行っている
(右)渋谷区本町2丁目
火災危険度ランク5とされる地域(写真左2点も同ランク)。木造住宅が多く、耐震化が進んでいない

 また避難Mapには、東京都が指定している大規模公園や大学などの広域避難所をマッピングしている。さらに各区の一次避難所など、より細かい避難場所については次ページの表にまとめた。

 地震が発生し、身の回りで火災や倒壊などが発生した時は、まず一次避難所(区内の小中学校など)に避難するのが原則だ。そして、そこも危険な場合には広域避難所へ移動する。大火災が発生した時、より助かる確率が高いのは、広大な公園などの広域避難所だからだ。

 しかし、この地図を見て、広域避難所までもが火災や津波の危険地域と重なっているところがあることに注目してほしい。戸越公園は火災危険地帯の真ん中に位置しているし、東京国際空港の一角や森ヶ崎公園、天王洲アイル周辺などは津波被害の危険に晒されていることが分かる。自分のオフィスや自宅近辺で、どこが〝より安全な広域避難所〟なのか地図でしっかり確認してほしい。

地図で考える「城南地区への帰宅」

 では、城南地区で東京直下型地震に遭遇した場合、どのように逃げるべきなのか。大田区・大岡山の自宅から千代田区にある会社に通っている会社員のAさんがオフィスで被災した場合を想定して、シミュレーションしていこう。

 実はAさんのオフィスのある千代田区は東京23区で唯一、区全域が「地区内残留地区」に指定されている。同地区は、建物の不燃化対策が進んでおり、火が燃え広がることは少ないとされている地域のことだ。他に中央区の日本橋周辺や渋谷区の渋谷駅周辺、品川区の港南、東品川地区、勝島地区などが同地区に指定されている。Aさんのオフィス周辺でも幸いなことに火災は発生しなかった。ところが、Aさんのオフィスビルには問題があった。建築耐震基準が変更される'81年以前に建てられたものだったのだ。

「17年前の阪神・淡路大震災では'81年以前に建てられたビルの多くが倒壊しました。古い建物の場合、たとえ最初の揺れで倒れなくても、余震であっけなく潰れる恐れが十分にあります。その時、自分がいる建物が'81年以降に建てられたものか否かが運命の境目になります。自分が住んでいるマンションや働いているビルがいつ建てられたものかチェックしておくことが大事です。揺れが収まった時にもし無事だったら、古い建物からはすぐに出ることが大切です。外に出れば、落下してきた看板やガラスに当たる危険もありますが、そこは究極の選択をしなくてはならないのです」(前出・渡辺氏)

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