横浜市で02年、三菱自動車(現三菱ふそうトラック・バス)製大型車のタイヤが脱落し母子3人が死傷した事故で、業務上過失致死傷罪に問われた同社元部長ら2被告に対し、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は8日付で、2被告の上告を棄却する決定を出した。禁錮1年6月、執行猶予3年とした1、2審判決が確定する。
今回の決定によってこの事故に関する虚偽報告事件や、02年に山口県で起きた死亡事故の業務上過失致死事件を含め、3事件で起訴された8被告全員の有罪が確定することになる。
上告していた2被告は村川洋元市場品質部長(65)、三木広俊元同部グループ長(63)。2審は事故原因は断定できないとしたが、小法廷は事故原因を1審同様、車輪と車軸を結ぶ金属製部品「ハブ」の強度不足と認定した。
その上で、99年に同種事故があった時点でリコールなどの改善措置を取り、国に正確な報告もすべきだったのに放置したとした。
裁判官5人中4人の多数意見。田原睦夫裁判官(弁護士出身)は「ハブの欠陥についての検証が不十分」として、審理を1審に差し戻すべきだとの反対意見を述べた。
弁護側はハブに欠陥はなく、整備不良によるタイヤの摩耗が原因と無罪を主張していたが、小法廷は「同社が提唱した一つの仮説に過ぎず、説得力ある見解とはいえない」と退けた。【石川淳一】
毎日新聞 2012年2月11日 東京朝刊