警視庁は10日、振り込め詐欺事件の捜査中に、20代の男性を詐欺未遂容疑で誤認逮捕していたと発表した。被害者宅に現金を受け取りに来た容疑者が男性に話しかけたのを見て容疑者と勘違いしたためで、約5時間後に釈放し、男性の家族に謝罪した。男性は道を尋ねられただけだった。
警視庁によると、7日午前11時半ごろ、東京都大田区の50代の主婦が、息子の代理人と称する男に自宅で現金300万円を渡す詐欺被害に遭った。
再び現金を要求する電話があり、田園調布署刑事組織犯罪対策課の警部(44)らが張り込んでいたところ、同日午後0時55分ごろ、住所不定、無職、江副潤一容疑者(61)が主婦宅に来る直前、路上で男性に話しかけているのを目撃。江副容疑者を詐欺未遂容疑で現行犯逮捕するとともに、男性が事情を聴こうとした際に約70メートル逃げたとして同容疑で緊急逮捕したが、無関係と判明した。
男性は「棒を持った見知らぬ人が追いかけてきたので逃げた」と話しているという。逃げる際に路上で転び、顔に擦り傷を負った。
警視庁の川原博夫・刑事総務課長は「男性に心からおわび申し上げる」としている。【内橋寿明】
毎日新聞 2012年2月10日 23時07分