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「mixiに繁華街作る」笠原社長、タウン構想実現へ

2012年02月10日 14:24

BLOGOS編集部

 身近な友だちとつながるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)としては国内最大。ミクシィが2004年にオープンした「mixi」が、いま大きな変化を遂げようとしている。これまで日記やつぶやきなど、クローズドな環境で親しい友だちと交流する機能をコアに成長し、ユーザー数は約2600万人。アクティブ率も非常に高く、日本の20代女性の59%が月に1回以上、mixiにログインしているそうだ。

 ミクシィでは従来からある日記やつぶやきなど親しい友だちと交流するコア機能を「HOME(ホーム)」と呼び、オープンなインターネットとmixiホームの間にあるサービスレイヤーを「TOWN(タウン)」と呼んでいる。そこで実現されるのはECやギフトなどに代表されるソーシャルコマースなどだ。ミクシィは2012年、mixiのタウン構想を重点的に推し進める方針だという。同社代表取締役社長の笠原健治氏に聞いた。

ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏
                                             ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏

--米国発のSNSも日本で人気を集め始めています。複数SNSを使い分ける方もいると思いますが、mixiの特徴とは何でしょうか。

 笠原氏:開始当初より大事にしてきているのは、よりクローズドな、居心地のよい空間であることです。弊社はミッションとしても、すべての人に心地よいつながりを提供し、誰もが主役になれる世界を創造すること、というのを掲げています。mixiは他社サービスと比べると少しクローズドで、つながりの濃いプライベートなサービスという位置づけにあると思っています。

 たとえば端的に現れているのが名前欄です。たとえば米国のFacebookはかなり厳格な実名制を採用されていて、実名を書いていなければアカウントを消すこともあり得るようですが、その分、人を探しやすくはあります。しかし逆に言えば透明性が高すぎて、一度登録すると過去に自分のことを知っている人だったり、この先、自分と知り合う人だったら誰からでも探されてしまう可能性があります。サイト内の友だち関係も広くなりがちで、結果的にパブリックなコミュニケーションと変わらなくなってしまいます。

 一方、mixiの場合だと名前欄においては実名を推奨していますが、強制はしていません。自分がつながりたい範囲内でコントロールできます。20代前半のユーザーの70%くらいが実名を書いているか、あるいはmixi内でつながっている友人間でのみお互い誰かがわかる名前を書いています。

 ニックネーム的な名前を書いて、それを知っている範囲においては友だちとしてつながっていく可能性を許諾しているのがmixiです。もちろん運営サイドとしてもそれがあるべき姿と認識しており、ユーザーさんとの行動とも合致していると思います。

 mixi内の友だちは他のSNS内の友だちに比べて「心の距離が近い人」と言ってもいいかもしれません。そういう人たちとしっかりつながれるサービスでありたいと思っています。

--まだまだmixiユーザーは増えていくと思いますが、いまどのように新規ユーザーにアプローチしていますか。

 笠原氏:一番多いのはもちろん友だちから招待されて入っていただくことです。アクティブに使っている人から招待されて、そこで使い方を覚えて、招待された人もアクティブユーザーになっていく流れが一番自然ですね。

 一つ契機があるとすれば、入学の時期やお盆休み、年末年始など、わりと人の移動が起きる時期です。そういうタイミングにmixiを紹介してもらえるように、推していきたいなと思っています。季節ごとのイベントをうまく捉えて、招待が活性化していくような年間のリズムを作っていけるといいなと思っています。

 人の移動とは違いますけど、去年の年末、クリスマスイベントのアプリ「mixi Xmas」を公開したところ、250万人のユーザーさんに参加していただきました。年末年始には、年が明けたときに日記を書こうというキャンペーンを開催しまして、そちらも非常に参加者が多く、通常の3倍くらいの数の日記がアップされました。

--250万人を動員するキャンペーンはmixiならではの規模感ですね。そういう活発なコミュニティを企業はビジネスにどのように活かせるのでしょうか。

 笠原氏:mixi Xmasでは、40社くらいの企業に協賛していただいて、去年は新たな試みとしてプレゼント交換をランダムにできる仕掛けを用意しました。また友だち同士でリアルのギフトもプレゼントできるようにしました。さらにコンビニのバーコードを使うことで、コンビニで販売されている商品を送ることもできます。

 後者のコンビニのプレゼントはデジタルアイテムの延長ですが、前者は実際の品物をクリスマスの翌日くらいに送ることができます。両方とも収益としての目処がたってきたなという印象ですね。協賛の方は前からやっているので、今年はさらにパワーアップしていきたいですし、ギフト系もそれなりにボリュームが大きくなっているので、今後もちゃんと使われるという手応えを感じています。

 今後は季節イベントごとに同じモデルを使っていけるでしょうし、ギフトはより定常的なサービスとして提供できると考えています。

--ギフトに関しては1つのサービスとして切り出すということですか。

 笠原氏:mixiにおけるギフトやコマースなどは「ソーシャルコマース」という事業領域だと思いますが、そこは今年の大きなテーマだと思っています。

 ただ、mixiの中で買い物ができるだけではソーシャルコマースとは言えません。mixiのコア機能である「HOME(ホーム)」機能と融合したり、もしくはソーシャルの感情を刺激するような情報の伝え方をしていくべきだと思っています。たとえば友だちが買ったから、欲しくなるということもあるでしょうし、友だちがオススメしているものを買うこともあるでしょう。あるいは自分の個性のアピールの場として、自分が好きな商品を飾れる機能もあればいいと思います。人が見ているからこその消費や、もしくはギフトのように誰かにあげたり、みんなで買ってあげたりする消費もあるでしょう。

 日常生活の中で、よく友だちとショッピングに行くことがあると思いますが、そこで起きるエモーションはすべてウェブ上でも展開可能だと思っています。そのようなコマースサービスを今年mixiでリリースすることになります。

 あくまでmixiのコア機能は身近な友だちとのコミュニケーションですが、そうありつつも、その部分を揺らしたり、刺激したりする仕掛けがあってもいいと思っています。よりコミュニケーションを活発にする仕掛けを拡充していこうという「mixiタウン」構想があります。現実世界における家のリビングと駅前の繁華街の関係性と、HOME(日記やつぶやきなど親しい友だちと交流する機能)とTOWN(コマース、ゲームなどのコンテンツサービス)の関係性は同じだと思っています。

 身近な友だちとのコミュニケーションというのは家のリビングに、コマースやアプリ、ゲーム、ニュース、コミュニティは駅前の繁華街にあたります。そのTOWNの部分を拡充することで、さらにmixi内のつながりを活性化できると思います。

 普段mixiのHOME(ホーム)で身近な人とコミュニケーションしている人も、週末はTOWN的コンテンツの方で過ごすかもしれない。それによって身近な人とのコミュニケーションが活発になることもあるでしょうし、あるいは友だちの友だちとTOWN的コンテンツで知りあって仲良くなる、もしくは同じ趣味や興味を持つ人とTOWN的コンテンツと知り合って、仲のいい友だちができることもあるでしょう。

ネットならではの切り口で、議論を巻き起こすテーマを提案。

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