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原子力委:作業員の身元調査 導入を提言

 内閣府原子力委員会の専門部会は10日、原発の重要施設や核物質に関わる従業員について、下請け業者の従業員も含めて犯罪歴や借金の有無などの身元調査を原子力事業者に義務づける制度の導入を提言する報告書案をまとめた。4月に発足予定の原子力規制庁(仮称)で具体的な制度の検討が始まる見通しだが、個人情報保護との兼ね合いで難しい対応が迫られそうだ。

 内部から重要情報が漏れたり、作業員を装ってテロリストが侵入するのを防ぐのが狙い。国際原子力機関(IAEA)が昨年1月、従業員個人の信頼性の確認を求める勧告を出していた。

 原子力委によると、身元調査は主要国ではほとんど導入済みだという。日本でも04年ごろに経済産業省などで検討されたが、「プライバシーを侵害する」として見送られた。しかし、東京電力福島第1原発事故を受け、「社会に深刻な被害を与えかねない原子力施設へのテロ行為対策は緊急の課題」と判断し、提言を決めた。

 ただし、電力会社などが従業員個人の犯罪歴や借金の有無を把握することは難しく、警察などが情報を提供する必要がある。また、福島第1原発事故の収束作業に伴う被ばく管理で、東電が実施した追跡調査で作業員に身元不明者がいることも発覚した。原子力委も実現性について「ハードルはかなり高い」としている。【西川拓】

毎日新聞 2012年2月10日 19時55分

 

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