野田佳彦首相は10日、首相官邸で記者会見し、同日発足した復興庁に関し「まさに復興の司令塔になる組織。復興事業を一気に加速していきたい」と述べ、東日本大震災からの復興に取り組む姿勢を強調した。また、被災地のがれき処理が進んでいないことから「安全ながれきを全国で分かち合う広域処理が不可欠だ」とし、全国の自治体に協力を求めた。
復興庁は東京都港区の民間ビルに入り、10日午後には看板掛けが行われた。首相は記者会見で「看板は高田松原の松を使っており、ずっしりと重い。被災地の期待に応えなければいけない責任の重さを痛感した」と語った。
復興庁の役割については「被災自治体の要望にワンストップで迅速に対応することと、役所の縦割りの壁をどう乗り越えるかだ」と強調。「私がトップとなり各省庁より格上の立場。やり抜いていきたい」と語った。
がれきは港や空き地などの仮置き場に集められているが、首相は「被災地の処理能力は限界がある。岩手県には通常の11年分、宮城県に19年分あり、自己完結はできない」と協力を呼び掛けた。
民主党が最低保障年金の財源試算を10日に公表したことに関しては「これからも粘り強く与野党協議の可能性を追求していきたい」と述べ、消費増税に関する与野党協議を引き続き呼び掛ける考えを表明。その上で「試算は頭の体操。新しい人口推計や賃金の上昇率、利回りなどを、与野党でこういう数値でやった方がいいというところから始めた方がいい」と述べ、与野党で試算を行うべきだとの認識を示した。【中井正裕】
毎日新聞 2012年2月10日 21時56分(最終更新 2月10日 22時10分)