上杉隆 wiki

キラ☆キラ降板問題

キラ☆キラ降板問題とは

上杉隆はTBSラジオの番組「小島慶子 キラ☆キラ」で番組内のコーナー「コラ☆コラ(旧名:サウンドパティスリー)」の火曜日コラムニストを担当していた。上杉は2011年3月にこのコーナーを降板したが、その理由が何であったのかという問題である。

この降板理由・経緯・時期について、上杉自身が複数の異なる主張をしている。一方、番組関係者による証言はすべて上杉の主張とは異なっている。

上杉が主張する降板理由の一つに「震災後、2011年3月15日の放送で東京電力を批判したところ、番組終了後に突然降板を言い渡された」がある。この主張は国外にも報道され、東京電力によるメディア支配の事例として紹介された。

一方、複数の番組関係者が降板理由・時期について「上杉による『平野官房長官ネコババ発言』により端を発したTBSラジオとの確執による降板であり、降板は震災前の2011年2月に決定していた」と証言している。TBSラジオは東電からの圧力を否定しており、番組パーソナリティの小島慶子は東電からの圧力は一切受けていないと発言している。

上杉は本当の降板理由について町山智浩などツイッターユーザーから説明を求められているが、ツイッターでは説明をせず自身の発行する有料メールマガジンVol.102以降で「反論」をしている。しかし、上杉はVol.102では「自分から降板を言い出した」と主張し始め、依然として「震災後、2011年3月15日の放送で東京電力を批判したところ、番組終了後に突然降板を言い渡された」ことの真偽は不明のままである。(2012年2月8日現在)

上杉の主張 概略

現時点(2012年2月8日)で上杉は以下の主張をしている。
  1. 理由は判然としない(『週刊金曜日』2011年4月15日号より)
  2. 自由報道協会を設立したからかもしれない(『だからテレビに嫌われる』大和書房刊 2011年9月16日発売 より)
  3. 震災後の放送で東電批判をしたところ、番組終了後に突然降板を言い渡された(シュピーゲルその他 詳細は後述する)
  4. 自分から降板を申し出た(東京脱力メールマガジン Vol.102 より)

上杉の主張 詳細

理由は判然としない

上杉は『週刊金曜日』2011年4月15日号の記事『TBSラジオを降ろされた真相--東京電力・電事連がもたらす「大本営発表」』で次のように書いている。
3月まで私は、TBSラジオの番組「小島慶子 キラ☆キラ」に出ていました。
そこで東京電力や電事連(電気事業連合会)に関して、「情報隠蔽(いんぺい)しているんじゃないですか」と、15分間のコーナーで話しました。
生放送が終わった後、番組のプロデューサーが来て、「上杉さんちょっといいですか、今月いっぱいで辞めてください」と突然言われました。
2週間前には「4月以降もよろしくお願いします」と言われていた。
理由は判然としません が、いきなりの降板であることは事実です。

自由報道協会を設立したからかもしれない

上杉は『だからテレビに嫌われる』(大和書房刊 2011年9月16日発売)で以下のように書いて(話して)いる。
上杉「また、今年もTBSラジオのレギュラーを降ろされたんですよ」
堀江「今度は何やったんですか」
上杉「何もやってないですよ。以前は官房機密費がマスコミに流れていた問題に突っ込んで揉めたんだけどね」
堀江「それでなんでレギュラー降ろされるんですか」
上杉「実はTBSラジオとは、2011年4月から1年間、毎週火曜日の『小島慶子キラ☆キラ』にレギュラーで出る再契約をしていたんです」
上杉「だからその時間は他の仕事を断っていたんですね。ところが2011年の1月に自由報道協会を作ったがために、「これは今のメディアシステムを破壊するものだ」って民放連の一部で大騒ぎになったみたいなんです」
堀江「自由報道協会では、僕も記者会見をやりましたよね」
上杉「そう。それで実は内部から告発があって、「上杉さん、アウトです。今後、TBSラジオのレギュラーはありません」と言われたんですよ」。
上杉「ビックリしましたよ。「そんなこと言っても、1カ月前にもう契約しちゃってるよ」と言ったのに、「上が決めたことだから」の一点張りらしい」
堀江「へー、そんなことになってたんだ」。
上杉「TBSのほうこそ、契約違反で業務妨害ってことになるけどね。でも逆に「上杉は自由報道協会を立ち上げた。あれは既存メディアにとって、特に放送局にとって営業妨害、業務妨害だ」
上杉「「その首謀者で代表である人間と契約するわけにはいかない」と、上層部の人間が言っていたと別の人が言うんです」
堀江「いろんな理由があるんですねえ」
上杉「 TBSラジオに関しては、自由報道協会を立ち上げたことが直接の原因になるかもしれない。 まあ、使いにくいってことはあったかもしれないけど、なんらかの理由で降板させたかったんでしょう」
上杉「 それが何なのかはよくわからない。 記者クラブか、官房機密費か、電事連か……。(後略)」

震災後の放送で東電批判をしたところ、番組終了後に突然降板を言い渡された

上杉は2011年4月6日に鳩山由紀夫が主催する勉強会で以下の発言をしている。

pt3 上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告
http://www.youtube.com/watch?v=o91IDAxrNG8#t=4m35s
3月に私はTBSラジオの『キラ☆キラ』というレギュラーを××××(聞き取れず)2年間やっていました。そこで、東京電力・電事連に関して「情報隠蔽してるんじゃないんですか」という風にずっと15分間のフォーラムで言って、生放送が終わった瞬間にプロデューサーが来て、「すいません、上杉さん。ちょっといいですか」と。「はい、なんですか」と。「えー、今月いっぱいで辞めて下さい」…突然言われました。
2週間前には、「4月以降もよろしくお願いします」と言われたんですね。ところが、いきなり「××××(聞き取れず)」と。
その前の週には、え、その次の週には、電事連スポンサーの『ニュースの深層』というですね、番組の、朝日ニュースターの、キャスターをやっているんですが、そこに電事連の方から、上杉隆の火曜日、葉千栄の木曜日、上杉隆は広河隆一を出した。それからですね、中釜さんという映画監督、これは上関原発の映画を作った人だと、を出した、と。葉千栄に関しては、広瀬隆という、これはチェルノブイリ、そのジャーナリストを出した、と。翌日には、共産党の吉井さん、を出したと。
これによって、とてもスポンサーをできる状態じゃないんで、彼らを番組から降ろしてくださいという依頼が来ました。で、朝日ニュースターは、岡崎局長は、それを拒否して、電事連さんが4月からスポンサーを降りてください、ということで、ここは助かったわけですが、ただ私はその時は無広告放送をしました。要するに広告なしでやったと。で、4月からも、今スポンサーなしです。
で、これが実は、この、一人の人間でこれです。他の人も相当圧力かかってます。
今来てる岩上さんも『とくダネ!』フジテレビ、降ろされましたけど、このことが理由かどうかわかりませんが、番組を終わらせられています。
つまり…
(以下はリンク先の動画を御覧ください)

上杉は2011年8月19日放送の朝日ニュースター『宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ』でも以下の発言をしている。

宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ「国家と情報 Part2」8/19(金)
http://www.youtube.com/watch?v=iIGNBk6iryQ#t=5m40s
3月11日、これはメルトダウンが起こる、ということで、私翌日にはもうツイッターで書いてラジオで言い出したんですが、まあデマ扱いされて、えーまあここではないですけど他の番組を降ろされたりするわけですね。

上杉隆公式サイトに掲載されている記事(ドイツの週刊誌Der Spiegelに掲載された記事の翻訳)に、以下の記述がある。

「シュピーゲル」誌(2011年5月23日号) 「原子力国家」日本語訳
http://uesugitakashi.com/?p=917Web魚拓
3月15日、彼は午後1時にTBSの生放送に出演した。そこで彼は、どうやら放射能が三号炉から出ている模様で、それが海外でも報道されている、と述べた。「本当は自明なことだったのですが」と彼は語る。しかし放送終了後テレビ放送局の上司から、番組を降ろされたことを伝えられたのだった。これ以降、上杉氏はTBSの仕事はしていない。TBSの番組制作のスポークスマンは、「内部では上杉氏を降ろすことは以前から決まっていたのだ」と説明している。東電からの圧力に関しては否定した。

上杉氏はその釈明を信じてはいない。それからまもなく、別のテレビ番組でもトラブルが生じたからである。「朝日ニュースター」でも、上杉氏が原子力に批判的なゲストを自分の番組に招待しようとしたら、電事連が当番組のスポンサー提供を終了した。放送局は、電事連のスポンサリングはもともと終了することが決まっていた、という。東電スポークスマンは、東電が上杉さんのようなジャーナリストに圧力をかけるなど、考えられない、と語った。
(注:引用箇所に「テレビ放送局の上司」という表現があるが、これは誤訳である。原文(ドイツ語)ではテレビともラジオとも書かれていない。文脈上これはTBSラジオのことになる)

ジャーナリスト保護委員会(CPJ)の記事では上杉について以下のように書かれている。

Freelance, online reporting discouraged on nuclear threat
http://cpj.org/blog/2011/04/japan-discourages-freelance-online-reporting-on-nu.php
"I have been frustrating TEPCO, government and all the Kisha Club media," Uesugi told CPJ by email. Appearing in his weekly guest slot on the local TBS radio station on March 15, he launched into a strong criticism of the power company. The station asked him not to come back. "I was removed from my slot on the TBS program permanently," Uesugi wrote.

参考: 上記以外に参考になるものとして、Time Out Tokyoのインタビュー記事(日本語/英語)がある。

自分から降板を申し出た

上杉は自身の発行する有料メールマガジン『東京脱力メールマガジン』のVol.102(2012年2月1日発行)で以下のように書いている。
また、その間にも、新潟やフクシマでの講演、ゴルフの撮影と取材、連載とこなし、それゆえ、 1年前のTBS降板 、あるいは2年前の官房機密費問題に関して再度調べることは物理的にも精神的にも、後回しにしていたのだ。
(中略)
だからこそ、私はそれを容認し、汚れたカネと権力と癒着し続けるTBSに容赦しなかったのだ。だから、これは初めて明かすのだが、それゆえに、 最初に「番組降板」を言い出したのは私自身の方である。

関係者の証言

小島慶子による証言

『キラ☆キラ』のメインパーソナリティーである小島慶子は上杉とのコーナーの最終回で、上杉に対して 2011年3月4日に上杉の降板決定を聞いていた と明かしている。3月4日は震災発生前であり、震災発生後の上杉による東電批判が降板の理由ではないことになる。以下がその発言である。

私はねえ、実はね、もうツイッターにも書きましたけど 3月の4日の時点で聞いていたんですよね。プロデューサーから。
上記発言の「ツイッターにも書きました」とは次のリンクを参照のこと。ここで 小島は上杉の降板理由も述べている。

上杉隆氏(@uesugitakashi)TBSラジオ 「小島慶子のキラ☆キラ」降板について小島慶子氏が語る
http://togetter.com/li/112151

また、東電からの圧力については次のように否定している。

2011年04月12日(火)キラ☆キラ オープニング☆トーク
http://www.youtube.com/watch?v=SXm1wkZ-Vqw#t=10m

水道橋博士による証言

『キラ☆キラ』金曜パートナーである水道橋博士はツイッターで 上杉の降板は2月末(震災前)にTBS上層部で決定しており、上杉とTBSラジオの間では「平野官房長官ネコババ発言」に端を発する確執があった ことを明かしている。この発言については以下のリンクを参照のこと。

上杉隆、『小島慶子 キラ☆キラ』の3月いっぱいの降板を告げられる
http://togetter.com/li/111983

K DUB SHINEを通した宇多丸による証言

ヒップホップMCのK DUB SHINEは『キラ☆キラ』の水曜日パートナーである宇多丸の友人である。宇多丸の発言として以下をブログに書いている。

リスナーならご存知のことだと思われますが、3月末で噂のジャーナリスト・上杉隆氏が『キラ☆キラ』を降板させられたでしょ? ネットを見る限りでは、番組で東電批判したのが降板の主な理由みたいで、オレはそういう上杉さんの姿勢が大好きだから、宇多丸がその件についてどう思ってるのか、聞いてみたかったんだよね。同じ番組に出てるんだから、深い内部事情とかも知ってるだろうし

でも、オレがその話を持ちかけたら 「降板はもっと以前から決まってた」とか「上杉さんなりの筋書きがあるんだ」 とか、まるで番組のプロデューサーみたいな答えしか返ってこなくてさぁ。オレがしつこく突っ込んでったら、挙句の果てには「知らねえよ!」みたいな感じでキレられて

補足 岩上安身の『とくダネ!』降板について

前掲の「pt3 上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告」で上杉は以下の発言をしている。
今来てる岩上さんも『とくダネ!』フジテレビ、降ろされましたけど、このことが理由かどうかわかりませんが、番組を終わらせられています。

岩上安身が『とくダネ!』を降板になったのは、震災や原発事故とは無関係である。なぜなら 岩上自身により『とくダネ!』を降板になったことが震災前(2011年3月11日の午前中)に公表されている からである。岩上はさらにその一週間前から降板について話し合っていたことを明かしている。

補足 朝日ニュースターへの電事連による圧力について

前掲の「pt3 上杉隆氏ら自由報道協会による「原発事故」取材の報告」で上杉は電事連から朝日ニュースターへの圧力があり、朝日ニュースターがそれを拒否したために電事連は4月から番組スポンサーを外れたと説明している。しかし前掲のシュピーゲルの記事では、朝日ニュースターによる説明として、 電事連がスポンサーから外れることはもともと決まっていた 、と書かれている。