岡山県倉敷市で、掘削中の海底トンネルに海水が流れ込み、1人が死亡、4人が行方不明になっている事故で、現場では大量の水が流れ込む事態を想定しておらず、緊急時の避難マニュアルなどはありませんでした。
専門家は安全性が高いとされるシールド工法と呼ばれるトンネルを作る方法への過信が被害を拡大した可能性があると指摘しています。
この事故は、今月7日岡山県倉敷市の「JX日鉱日石エネルギー」の水島製油所で、掘削中の海底トンネルに海水が流れ込んだもので、作業員1人が死亡し、4人の行方が分からなくなっています。
工事の元請けの建設会社「鹿島」によりますと、現場では、手動で外に異常を知らせるブザーは設置していたものの、水が流れ込んだことを知らせる警報装置や緊急時の避難マニュアルはなく、救命胴衣や酸素ボンベなどもなかったということです。
この理由について、鹿島は「シールド工法という安全な方法でトンネルを掘り進めており、水がトンネル内に大量に流れ込んでくることは想定していなかった」としています。
シールド工法は、掘削機で地盤を掘りながら掘ったあとの通り道をコンクリートの型枠で固定しながら進むもので、掘ったあとに泥や岩が崩落する可能性が低く、業界内では安全性が高いとされてきました。
これについて、水島コンビナートの事故対策について指導する審議会の会長で、岡山大学大学院の鈴木和彦教授は「これまで事故が起きていないからといって今後も起きないという保障はなく、大きな過信があった可能性がある。緊急時の避難マニュアルなどがないのは非常に問題だ」と述べ、安全性への過信が被害を拡大した可能性があると指摘しています。
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