国道交通省が
「景観基本法」ともいうべき
法律
制定する方針である、と報道されました。

鷺沼ヴァンガートンヒルズ紛争は、そもそも

マンション計画の可否を判断する際に、行政はそれが建築基準法にあっていれば良しとしてしまう。

しかし、この建築基準法は、そのマンションの建物自体が不良でないかどうかのみを定めた法律であり
そのマンションが
周囲の環境に与える影響についてはなんら触れていない法律である。

だから、こんなマンション計画が大手を振ってまかりとおってしまっている。マンション事業者は「この計画は建築基準法に合法です」という言い訳を伝家の宝刀として地域環境に不適切なマンションを建て続けている。

という事情から発生していたものでした。
全国の多くの場所で発生しているマンション紛争でも、これは共通した構造だとおもいます。

そんな悪構造を改善し、
建物がまちなみの景観に与える影響を考慮して建築規制を設ける法律
がつくられようとしています。

地方自治体の条例などでなく、国家として定められる“基本法”です。

「景観権」を主張して提訴をし、
日本の法律には景観権など存在しない」という主旨で論を張る事業者側と闘っている
私たち守る会にとってもこれは大きな関心事です。

以下に、そのことを報じた新聞記事を掲載します。

2003年12月8日(月)朝日新聞朝刊 トップ面

(記事全文)

屋根の向き 壁の色 自治体で規制

街並みづくり 法で応援 ……市町村長に変更命令権 「景観法」制定へ

 屋根の向きや壁の色をそろえたり街路樹を植えたりして、欧州の街並みのような景観を日本にも定着させようと、国土交通省は今後の景観づくりの基本法となる「景観形成促進法」(仮称)を制定する方針だ。

法案によると、自治体ごとに「景観形成計画」を作り、地域を指定して建築物の色やデザインなどを規制できるようにする。規制に合わない場合は市町村長が変更を命じることもできる。商店街などでは、住民が「景観協定」を結べるとし、自動販売機の色や店頭の照明などを含めて景観上の統一を図れる、とした。同省は来年の通常国会に法案を提出し2004年度中の施行を目指す。

 景観を巡ってはこれまで都市計画法などによる規制のほか、屋外広告など個別の規制法はあったが、景観を全面にうたった法律は初めて。同省は12月10日、法案を自民党国土交通部会 街並み景観小委員会(岩永峯一委員長)に示し、了承を得る。

 法案では「景観は国民共通の財産」と位置づけ、「国民や自治体、事業者が良好な景観を形成するよう努める」とした。

 市町村は、地域の特徴にあった景観形成計画を作り、自治体の中でいくつかの「景観形成地域」を指定できる。地域内で建物を建築する場合は届け出制とし、配慮すべき色など景観の基準は各自治体が定める。

違反者に対して市町村長が変更を命ずることができ、罰則を設けられる。例えば建物の色を「白」で統一した場合は「青」を採用しようとしている計画に変更を求めることができる。

 また、より厳しい規制をするため地域内に「景観地区」を設け、建物の形やデザインも規制できるようにする。こうした規制はこれまではほとんどできなかったが、瓦屋根に統一するとか、屋根の向きを一定方向にするなどの規制が可能となる。これらの計画や地区指定は住民からも提案できるとしている。

 商店街など統一した街並みをつくりたい地域は、全員合意の上で「景観協定」を結べば、建物のほか自動販売機の色やショーウインドーの照明など、細かな統一的な規則を定めることができる。

 さらに、街の景観の中で欠かせない建物や樹木を「景観重要建築物」として指定する制度や、街づくりに取り組むNPO法人などを「景観形成機構」として法的に位置づけ、重要な建築物の保全やきれいな景観づくりを支援できるようにする−−−なども盛り込んだ。

 建物や街並みは都市計画法建築基準法で規制されるが、景観の観点から高さや形態、色彩をそろえるという視点はなかった。このため、両法に合致していれば、街並みに合わない高層マンションなども建設が可能で、「景観が阻害された」などとして各地で紛争になっている

 現在、都市計画法で地方自治体は「美観地区」を指定でき、条例で建築物などの高さや構造の規制ができる。しかし、美観地区は全国で京都市、大阪市、倉敷市など6都市だけで、規制する条例が整備されていない自治体もある。このほかでも、独自に景観条例や要綱を作っている自治体は多いが、景観に関する基本法がないことから「よりよい景観に誘導していくには限界がある」との指摘が出ていた。


※この記事は著作権者(朝日新聞社)の許諾を得て当HPへ転載しています。
無断で転載、送信するなど著作権者の権利を侵害する一切の行為を禁止します。

記事中、黒太字で示した箇所の記述など、まさに鷺沼ヴァンガートンヒルズの問題そのものであり
(少なくともこの記事で見る範囲において)
これこそ私たちが望んでいた法律そのものだ、と思えてくる内容です。

裁量権は市町村長、つまり私たちの場合においては「阿部孝夫川崎市長」に与えられるようです。
が、赤文字強調部分で示したように、住民からの発案も容認されているようです。

この、これから制定される法律が、鷺沼ヴァンガートンヒルズ問題に、
時間を遡って適用されるかどうかはわかりませんが、
仮に本件には適用されないものであっても
この鷺沼地域の、あるいは宮前区の、川崎市の、
これからの住環境問題にとりくむ立場の人間として、
川崎市政に働きかける“忙しい仕事”がまた起きてくるような
予感をさせる、大きなニュースです。



このページを閉じるとトップページに戻ります
1