鷺沼ヴァンガートンヒルズ計画中止
「当該土地の今後の方針について」と題して、
事業者が近隣住民に対して
説明会を開催しました。

2004年34日(日)、工事現地内に設けられたプレハブの工事事務所を会場として開催されました。

事業者側からの出席者は以下の通り。

東急不動産 2名

三菱商事 1名

新日鉄都市開発 1名

大林組 2名
そして…

東急電鉄 住宅事業部 法人担当課長

東急建設 工事部長

 〃      〃   計画担当課長

  〃    作業所長

  〃      〃     課長補佐

  〃    事務担当

全12名。正面向かって左側にいままでおなじみの“事業者”の面々、
右側に今回初めて見かける「東急電鉄と東急建設」の人間が居並ぶ形で
行われました。

説明は、午後2時からの回と午後4時からの回、2回に行われ(説明内容はどちらも同じ)、
前者には約70〜80名、後者では約20〜30名の住民らが集まり、
新聞記者や市会議員の方の姿もありました。

「今後の方針について」と示されたA4サイズの紙一枚が各住民の手元に配られ、
そこに箇条書きにされた項目を説明する形で、下記のように話が進められました。

 

事業者による説明

本計画はそもそも、2003年1月から建築工事に着手し、同年4月、敷地の一部から「ゴミ混じり土」が確認され、その後の調査で土壌汚染があることが判明し、同年7月から現在まで建築工事を中断してきた…と改めて経過を説明

そのゴミの内容や汚染の範囲・状況、汚染調査の方法などについての説明。(これは2003年7月6日にたった一度のみ行われたゴミ内容住民説明会の内容とほぼまったく同じ) ※'03 年7月以降、汚染調査を継続してきたが、汚染土壌や汚染地下水が計画敷地の外に流出した形跡はまったく見られなかったとの追加説明もあり。

その後も土壌調査をしつつ、さらに工事の可能性を探っていたが、

(1)工場跡地の土壌汚染などと違って汚染物質の特定がしにくく、対処がしにくい。
(2)マンション・デベロッパーとして(事業収支計画の)スケジュールの確定が困難。

なる2つの理由から事業継続を断念せざるを得ないという見解に達し、次のような結論とした、とのこと。

【結論】:東急不動産、三菱商事、新日鉄都市開発の事業者共同企業体は、2004年2月27日をもって土地の売主であった東急電鉄(株)と土地売買契約の解除に関する合意をとり、本土地の全て現状のまま東急電鉄に返還することとなった。

東急不動産、三菱商事、新日鉄都市開発は、本日3月7日(日)をもって撤退し、今後の該当土地の管理は、東急電鉄が責任をもって行っていく。施工者の大林組も3月末日をもって撤退。工事は東急建設が行うこととなる。

「鷺沼ヴァンガートンヒルズ」計画についてはこれをもって事業中止とする。なお、東急電鉄も事業を継承する意思はなく、まずは土壌汚染対策工事の実施を最優先に考えている。その後の土地利用方法については、現時点ではまったく未定。

東急電鉄による土壌汚染対策工事は、その方法・時期等についてこれから川崎市と協議をすすめていくつもりであり、今日この場ではなにも説明できない。(といっても無期限でだらだらやっていくわけでもなく、半年以内くらいには対策工事に着手したいとは考えている。)

(あと、市行政への各種手続きの件、近隣世帯への工事影響を調べる家屋調査の件、電波障害の補償対策として行ってきたケーブルテレビ敷設工事の件、等、事務的事項に関する説明あり)

以上

 

説明に対する住民からの質問と、事業者からの回答(要旨抜粋:順不同)

【住民質問】汚染が確認された場所は、基礎工事が行われている場所なのか。

【業者回答】その通り。基礎工事も行い、杭打ちもしてある。

【住民質問】では「その後の汚染調査」とは基礎のコンクリートを剥がして行ったのか。

【業者回答】剥がしてはいない。コンクリートに穴をあけて調べた。


【住民質問】汚染が確認された地点以外での汚染(敷地外への汚染流出も含めて)は、無いのか。

【業者回答】調べたが、出ていない。

【住民質問】汚染地下水が敷地外流出をしていない、と断言する根拠は何か。

【業者回答】(昨年7月にも説明したが)敷地周縁部に観測用井戸を全9箇所もうけて月2回、確認している(市の公害部水質課も定期的に現地を訪れ確認している)。そこで汚染流出が認められていないため。


【住民質問】汚染された土壌の推定量は?

【業者回答】(あくまで推定だが)体積にして6万5000立法メートルと見ている。


【住民質問】いままでに調査や工事のために掘り出した汚染土は、どこに保管しているのか。

【業者回答】「中間処理施設」なる専門施設に搬出済み。敷地内に保管することはしていない。


【住民質問】住民側はこれまでも再三「住民代表を現地に立ち入らせて、場内の汚染状況およびその汚染調査状況を目視させてほしい」と要求を繰り返している。2004年2月に東急不動産にあてて出した要請書でも、改めて書面で要求しているのに、いまだに返事すらもらえない。(ちなみに、事業者は、新聞記者等マスコミ関係者や市会議員の現地立ち入り要請さえも頑なに拒み続けて現在にいたっている)。事業者が現地立ち入りを拒む理由としていた【現場内は工事作業等で危険だから】という理由は、工事中止となって久しい現状ではまったく論をなしていないと考えられる。なぜ、現地立ち入りを拒否するのか、その説明を求める。

【業者回答】(東急不動産 担当課長T氏回答)住民側には汚染状況を示すサンプルやデータを提示していたからそれで十分であり、現地にわざわざ立ち入って目視をしてもらう必要はないと判断していた。※もちろん住民側は、それで十分などとは考えていないし、そのことを明らかに伝えた上で再三要求をくりかえしていた。東急不動産T課長の説明はまったく意味をなしていない。
(東急電鉄 担当課長O氏回答)住民の要求はいまここで承った。しかるべき時期に、現地立ち入り見学の実現を前向きに検討したい。


【住民質問】この土地に関する一切の責任を、東急電鉄が負うものと考えていいのか。(この土地は、東急電鉄が所有する以前は、サレジオ学園が所有していた。今回、東急不動産らは売主責任として、土地を東急電鉄に“返還”したが、東急電鉄がまたさらにサレジオ学園に責任を転嫁することはないか。責任のたらい回しにされることを住民は懸念している)

【業者回答】いまこの場で確約できるのは「土地の改良は、東急電鉄が責任をもって行う」「ヴァンガートンヒルズのマンション事業は一切継承しない」という点のみである。


【住民質問】市道鷺沼70号線(計画地の中を貫通している細い市道)が、現在、工事の仮囲いだけで両側をはさまれ、街灯も暗く、痴漢・ひったくり等が発生しやすい治安の悪い環境となっている。(現に地元住民が110番通報をする事件が発生している)。地域住民としてとても不利益をこうむっているため、早急に対策を願いたい。

【業者回答】(東急電鉄 担当課長T氏回答)土地管理を引き継いだばかりで、いまこの場で即答はできないが早急に検討したい。※数週間以内位に文書で検討結果を伝えてもらう約束とする。


【住民質問】市行政に確認した土壌汚染対策法のきまりによると、汚染対策を施した後、さらに2年間はその後の経過を継続観測しなければならないことになっている。つまり、その2年間は他の建築物も建てられないこととなるが、それだけの長期間、現状の鉄板による仮囲いでは景観の面でも(あと前質問のような治安面でも)不備があると感じる。鉄板囲いでなく、見通しの利く透明素材の囲いに変更してほしい。

【業者回答】(前項目と同様)検討をさせてもらいたい。※これも文書で回答の約束。


【住民質問】これから汚染対策工事や解体工事が行われることになると思うが、工事協定は結んでもらえるのか。(東急不動産ら、および大林組は締結不能と拒絶されたが)

【業者回答】(東急電鉄 担当課長T氏回答)結ぶつもりである。


【住民質問】この計画は、アセス調査を行って「環境的に問題がない」という結論をひきだした上ではじまったはずだ。このアセスでは土壌調査も確かに調査項目に入っていた。その時に、ちゃんと土壌調査をしていれば、工事着工などあり得なかったのではないか。それさえ行われていれば、東急不動産らも損失を出さず、住民らも反対運動や裁判に多大な労力を費やす必要もなかった。今回の事業中止は「土壌汚染につき中止」ではなく、「事前調査不十分につき中止」ではないか。東急不動産らは、そんな茶番のようなことで大いなる迷惑を住民にかけている。そのへんの自覚がないのではないか。

【業者回答】(東急不動産 担当課長T氏回答)法的に、落ち度のない(つまり、ちゃんとした)調査をしていたつもりだ。


【住民質問】(前項の質問と同趣旨で)そもそもは、アセス調査を受注しておこなっていた株式会社オオバのずさんな調査(もしくは、事業者寄りの結果をひきださんとする意図的操作: ※オオバの調査のずさんさ及びデータ操作疑念については2002年4月13日の環境アセス公聴会において指摘済み)の結果に端を発するのではないか。東急不動産ら事業者として、株式会社オオバの責任を追及することは考えないのか。

【業者回答】(東急不動産 担当課長T氏回答)前項質問でも回答したが、今回のアセス調査において、この土地が明らかな工場跡地だった場合など、著しい土壌汚染の予想される地歴をもっている土地だったら調査もしかるべき精度で行っていた。が、ご存じの通り、ここはそのような地歴はもっていない土地だった。だから「通常の範囲内」での土壌調査を行っていた。この点において、我々事業者はオオバの責任を問うことはしない。

【住民発言】そんなことでは、何のために「調査」をするのかわからない。とうてい納得のいく回答ではない。少なくとも、住民は今後、身の回りのなにかの建築事案で株式会社オオバの名をみかけたら大いに警戒をする。ましてやこの鷺沼4丁目でみかけるようなら住民は断固拒絶をする。そう認識してほしい。


【住民質問】本日の説明会は、いわば「謝罪会」の意味合いも持っているはずだ。なのに、事業者は担当課長クラスの人材しか出席していない。部長、役員などの参席がないのはどういうことなのだろうか。

【業者回答】…(とくに回答を得ず)…


【住民質問】東急電鉄は土地改良費として50億円を計上しているそうだが、いま現地に残されている基礎や鉄骨の解体工事費はそこに含まれているのか。

【業者回答】含まれている。


【住民質問】汚染対策を今後、東急電鉄と東急建設で進めるとのことだが、失礼ながら御社らは、こうしたことにどのくらいの実績があるのか。また、外部の専門会社のような機関を使うなら、それはどういう経歴・実績をもつどういう会社なのか、といったことを(いま即答は要求しないから)折々にしっかり情報開示を願いたい。東急不動産ら事業者は、こうした情報をほとんど住民に開示せず、住民は不信感のかたまりとなって現在の状況を余儀なくされている。これからは、ぜひともガラスばりの情報開示を願いたい。

【業者回答】(承諾)


【住民質問】2003年7月6日のゴミ調査説明会時に「次回、8月くらいに再度説明会を開催する」と説明があったが結局それはこの8カ月間一度も行われることなく本日に至っている。しかも、この間、「守る会」から説明会はどうなったのか、汚染対策のその後はどうなのか、と再三質問をし続けているのに、東急不動産ら事業者はただの一度も返事の連絡をよこすことなく、またただ一枚の文書返事すら出していない。この不誠実きわまる対応はなぜなのか、説明を求める。

【業者回答】(東急不動産 担当課長T氏回答)7月6日の説明会時に自分は「8月に再度説明会を開く」とは発言していない。「ご報告すべき内容があきらかになったら開催してお伝えする」とは言ったが、8月という時期は住民の側から出た話ではなかったか。自分はそう記憶している。(その後の要求に回答ひとつよこさなかったことには言及せず)

※ちなみに、7月6日説明会の様子をまとめたこちらのページにもあるように、「次回は8月上旬開催の見込み」は住民側からの示唆でなく、住民の質疑応答の前に事業者が自ら発言した内容(つまり東急不動産T課長自身の発言)であることが、「守る会」の記録に残されている。この期に及んでなお“ウソの言いはり”答弁をくりかえすT課長の言動に、住民は、こういう人間を相手に司法闘争をしていたことを改めて深く認識した。


【住民質問】7月6日のゴミ調査説明会の終了後に、住民側は市行政に連絡を取り、今後こうした説明会が行われる際には市の公害課の参席も考慮すると回答を得ているが、今日のこの場に公害課職員がいないのはなぜか。

【業者回答】本日は、汚染対策の説明会というよりは、事業中止および事業者変更の説明をする会として位置づけていた。市職員の出席は、今後の「汚染対策説明会」において実現したい。


【住民質問】土壌汚染対策=土地改良工事を行った後は、現地はとりあえず「更地」になると思うが、この風の強い土地柄で、広大な更地は砂埃などの害が懸念される。また景観的見地から、緑(樹木)は強く望むところである。風害予防にもなる植裁のことをご考慮いただきたい。

【業者回答】考慮し、検討する。※これも文書で回答の約束。


【住民質問】本日の次は、どうするのか。

【業者回答】(東急電鉄 担当課長O氏回答)取り急ぎ、2カ月後(2004年5月)くらいに、次回の説明会を開けるよう善処したい。その時点までに、なにか完全に答えられるような回答が見いだせない場合には“経過報告”といった内容になるかもしれないが、それでも住民側とコンタクトをとる上でもミーティングを開きたいと考えている。

【住民質問】本日の個別質問に対する回答は、どうするか。できるなら、2週間以内くらいに(たとえ全部の回答が用意できなくても)文書を届けて欲しいものだが。

【業者回答】善処したい。やり方を少し考えさせてくれ。



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