東急電鉄が
(旧)鷺沼ヴァンガートンヒルズ工事現地に、
はじめて住民を招き入れ、公開しました。

パノラマicon
住民がはじめて足を踏み入れた現地の360°パノラマ写真↑(クリックすると拡大版をご覧いただけます)

土壌汚染および地下水汚染で近隣住民に不安を与え続けてきた鷺沼ヴァンガートンヒルズの工事現地に、2004年5月23日(日)、住民らが初めて足を踏み入れることができました。

昨2003年春に、元事業者である東急不動産×三菱商事×新日鉄都市開発の3社が「ゴミ混じりの土が出た」と川崎市に(←世間に発表する事なく、こっそりと)申し出て以来、住民はおろか、マスコミ記者も、そして市議会議員が要請しても、決して外部者を立ち入らせなかった「禁断の土地」でした。

今回は、事業撤回を決定したこれら3社にかわって事業のあとしまつをすることになった現事業者東急電鉄および東急建設)に、住民が交渉を続けた結果、ゴミ出土からほぼ1年を経て、やっと現地立ち入り見学が可能になったものです。

現事業者いわく「鉄骨などの解体・撤去作業が始まったら、住民のみなさまの立ち入りは(危険なので)ご遠慮いただきたい」とのことなので、こうして元・事業者が荒らして(後片づけをすることもなく)去っていった土地の内側を見るのは、私達住民にとって最初で最後の機会です。

下記に、その最初で最後の光景を写真で掲出しました。住民が、まず気がついたのは、次の3点でした。

 【1】現地内のここかしこが、コンクリートで固められて、建築基礎がしっかりできあがっている。
 
【2】元事業者は、ここまでつくりあげた後に、「土壌汚染で中止」と発表した。
 
【3】しかも「汚染が見つかった」と発表された場所の多くは、まさにコンクリート基礎の「下」にあった。


この3点の事実を眼にして、住民の胸中にうかんだのは次のような考えでした。

 【a】ここまで建築基礎が作り込まれていて(しかもその前に環境アセス工事準備のために2回も土壌掘削調査もしていて)
    その過程で土壌汚染を疑わなかった、とは考えにくい。

 【b】元事業者らは、汚染に気がついた後も、基礎工事作業を進行させたに違いない。

 【c】元事業者らは(もしかすると)汚染土壌の上にコンクリを流し込んで、あわよくばそのまま
    マンション建設を完了させるつもりだったかもしれない。(バレなければいいだろう判るまい、と)

 【d】ただ、その途中で“なんらかの気持ちの変化”が元事業者らの社内に生じ、
    あわてて「ゴミ出土を発表」し、「販売を中止」し、そして「工事を中止」とした。

【c】と【d】はあくまで住民の推測ですが、このように考えないと【a】と【b】という“半ば事実”の説明がつきません。直径60センチ、長さ最大40メートルにもおよぶクイを総数700〜800本(←東急電鉄発表数値)も打ち、コンクリを流し固めたあとで「土壌汚染で中止します」と発表されたのは事実ですから。

そのように考えると、元事業者が、ことし2月末に事業撤退を宣言するまで、マスコミも市議も断固として、一歩たりとも現地に踏み入れさせなかった理由も理解できるような気がします(元事業者が、マスコミ・市議・住民をシャットアウトしていた経緯はこちらをご参照ください。私達住民が抱いたような【a】〜【d】の疑念を、マスコミ・市議会にも抱かせてしまうからです。

元事業者(東急不動産×三菱商事×新日鉄都市開発)は、いわゆる世論に「なんで、こんなに出来上がるまで汚染のことを言わなかったんだ」と指摘されたくなかった。だからこそ、周囲から(川崎市環境局からも)いかに不自然さを指摘されようとも、現地公開に応じなかった。そう考えざるを得ません。

この、元事業者らが、結果として計画を中止したことは評価します。が、【d】におけるなんらかの気持ちの変化がなんであったのかは、気になります。住民が反対運動を起こして騒がなかったら、東急不動産らは計画を中止したか
住民が裁判を起こしてこの土地に司法の目が入るという前提がなかったら、東急不動産らは計画を中止したか

…この疑念は、いつまでも私達住民の胸中に残り続けます。


もう一度言います。私達は、元事業者が、結果として計画を中止したことは評価します。が、そこにいたる経緯として、この3社の営業姿勢に反社会的なものを感じずにはいられません。バレなければ、住民の逆風が“ある程度以下”に収まっていれば、どんなことでも黙ってやってしまう、のではないか。

この3社は(および施工をしていた大林組も)、この日本の他の土地で、また似たようなマンションをつくって、鷺沼ヴァンガートンヒルズと同じような美辞麗句で販売しています。が、この鷺沼で、彼らがしてきたことと対面してきた私達は、その“他の土地のみなさま”に、下記の写真をもって警告したいと思っています。


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掘削された現地土壌の土砂サンプル

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汚染範囲状況(図A):着色部が汚染が見つかった区域

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地下水汚染が見つかった東名高速道側(図Aでは左上部)

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コンクリで固められた南側(図A左方)

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巨大なクイが既に700〜800本打たれている(図A左方)

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建物基礎も既にできつつあった(図A上方)

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南東側 市道沿いの棟はすでに姿が…(図A下方)

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住居の筐体もできていた(〃図A下方)

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地下部分への階段も形成済み(図A中央右寄)

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地下水を汲み上げる装置

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これも地下水汲み上げ装置

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黄色い旗の支柱が汚染地下水監視井戸、とのこと

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汲み上げた地下水をポンプで集積

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ブルーシートにたまっていた雨水

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汚染(の疑いがある)地下水を蓄えたドラム缶群

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この装置で地下水を「浄化」している、とのこと

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東側正面ゲートから敷地全体を望む。この丘に建てられそうだった11階の建築物計画は、消えました。



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