鷺沼ヴァンガートンヒルズ工事現地(=元・東急グラウンド跡地)
土壌汚染が完全に浄化し終えた、
と事業者が住民説明会を開催しました。

2006年5月28日(日)、東京急行電鉄株式会社および東急建設株式会社が近隣住民を対象に「土壌汚染対策工事 浄化完了 説明会」を開催しました。(於サレジオ教会)

東急電鉄の住宅事業部から2名、東急建設首都圏本部の土木事業部から2名の計4名が出席し、住民側は守る会メンバーも含めて20名ほどが参加しました。

説明会の詳細内容については、以下に事業者が用意した説明資料を抜粋掲載しますのでご覧ください。ともあれ、トリクロロエチレンなどをはじめとする揮発性有害物質が検出されて近隣住民を不安に陥れたこの敷地の土壌汚染は、埋土をした部分でも、その下層の地山部分でも、さらにその下を流れる地下水においても汚染の浄化が完全に終了した。この土地の汚染はもう心配ない、という発表でした。

説明資料のさらに下に、住民と事業者の一問一答を抜粋して掲載しました。その中でも語られているように、事業者は、「この敷地に次に何を建てるか」については「未定である」として明言しませんでした。が、「暫定的に東急建設の資材置き場などに使用する」と回答しました。

まずは以下をご覧ください。

平成18年5月28日

事業主 東京急行電鉄株式会社
施工    東急建設株式会社

鷺沼四丁目所在土地 土壌汚染対策工事 完了報告

 今回事業の目的である、土壌、地下水汚染について浄化完了を確認いたしましたので、ご報告いたします。
土壌汚染対策工事として、埋土部は掘削によって汚染土壌(47,000立米)を全量撤去を行い、同時に、地山での土壌採取による土壌試験および地下水部での地下水のモニタリングにおいて環境基準値以下を確認いたしました。

1. 浄化完了までの行政との協議等の経緯

2004年2月27日 旧事業主より現事業主へ引き渡し
2004年4月14日 川崎市環境局環境対策課 防護シート等現地確認
2004年4月26日 川崎市まちづくり局開発指導課 現地確認
2004年5月 7 日 川崎市へ調査状況中間報告・試験施工計画説明
2004年5月23日 解体工事住民説明会
2004年6月15日 〜 6月30日 調査報告書・対策工事実施計画書、川崎市事前協議
2004年7月11日 対策工事 住民説明会
2004年8月25日 土壌調査等結果報告書、汚染土壌等処理対策実施計画書 川崎市提出
2004年12月17日 川崎市環境局環境対策課、廃棄物指導課 試掘土ふるい分け状況現地確認および処理方法確認
2005年2月24日 〜 9月12日 計7回 川崎市環境局環境対策課、埋土部掘削除去底面確認
2005年5月25日 地山部浄化完了確認方法、川崎市と協議
2005年7月 5 日 地山部浄化完了 川崎市へ報告
2005年10月28日 地下水部浄化完了確認方法 川崎市と協議
2006年4月 5 日 川崎市へ埋土部、地山部、地下水部浄化完了報告書についての協議
2006年5月19日 川崎市へ浄化完了報告書提出
2006年5月28日 浄化完了地元住民説明会

2.浄化工事報告

【埋土部対策】
 掘削除去部では、現地で汚染土と廃棄物に分別しました。汚染土は計画に準拠してセメント工場へ搬出処理し、セメント原料として再利用。廃棄物は産業廃棄物処理施設へ搬出いたしました。
 掘削除去については、平成16年12月6日より開始し、除去完了時に川崎市環境局環境対策課(以下川崎市環境対策課)の立会い(平成17年2月24日〜平成17年9月12日 計7回)のもとに底面確認を行いました。

【地山・地下水部対策】
 平成16年7月1日よりHRC工法
※1により、計134箇所の井戸にHRCを注入し、月1回のモニタリングにより経過観測を行ってきました。
 地山部は平成17年6月20日の調査において基準値以下を確認し、平成17年7月5日、川崎市環境対策課へ報告いたしました。
 地下水部については、平成18年1月のモニタリングにより、基準値以下を確認。その後平成18年2月、3月、とあわせ計3ヵ月連続基準値以下である事を確認しました。その結果を平成18年4月5日川崎市環境対策課へ報告し、平成18年5月19日に完了報告書を提出いたしました。
 なお、当初川崎市より指導された、浄化完了後2年間のモニタリングは、下流域に存在した飲用井戸が本工事期間中に撤去されたため、その必要条件を失い、環境省と川崎市との協議を経た結果、モニタリング終了後の完了確認と同様な確認がなされれば、2年間のモニタリングの必要はなしとの見解(平成17年8月9日協議)に達しました。これによって、土壌・地下水汚染除去工事は、以下をもって浄化工事完了としました。
  ・掘削・除去部 (完了後、底面を立会および底面土壌確認分析による確認)
  ・地山・地下水部 (地下水汚染箇所において10ヶ所の井戸、敷地境界10ヶ所、地下水汚染範囲下流域2ヶ所において、連続2回基準値以下の確認)

 上部の汚染土を完全掘削除去したため、雨水等で汚染が浸透する事がなくなり、また、敷地境界で汚染がなければ外部からの汚染の流入・流出がなく、また汚染範囲の下流側で汚染無が確認されれば、汚染が移動した事もないと判断されることが根拠としてあげられます。

 ※掘削除去施工中に、今回の汚染原因と思われるトリクロロエチレンの原液が入った缶が発見されました。原因者について調査中ですが、現在のところ不明です。

※1HRC工法:
自然状態で極めて緩やかに、揮発性有機化合物(VOC)の分解が進行していますが、その分解を、水素を供与して促進させる工法です。水素供与化合物として、乳酸とグリセリンの合成物質をボーリングにより、現地に注入します。

●住民と事業者の一問一答(抜粋)

Q.「汚染対策工事」は、正確にはいつごろから開始したのか。
A.前事業者も水の汲み上げなどをしていたが、本格的に工事を開始したのは2004年8月25日から。

Q.今後も、地下水の検査を継続して行ったりするか。
A.法律で定められた検査義務はないが、自主的行うこともあるかもしれない。但し定期的には行わない。

Q.敷地内の検査用井戸は残すのか。
A.残す方針である。

Q.本日のこの住民説明会は市の意向で行ったのか。事業者の意志で行ったのか。
A.事業者として「自主的」に実施した。土壌汚染対策法などでは、説明会の実施は義務づけられていない。

Q.汚染源となったトリクロロエチレンの原液が入った缶を放置した原因者の特定はどうなのか。
A.いまだ不明だ。事業者として、その犯人探しをするよりも、汚染を処理することの方を優先させた。

Q.汚染モニタリングの「測定」はどこがしたのか。公的機関が行ったのか。

A.環境省指定の調査機関で行った。その時その時によって複数の発注先があるので詳細を報告する。

1.試料採取機関名および許可番号(現地にて試験試料を採取した会社)
JEFエンジニアリング株式会社 環境省指定調査機関 環2003-1-516
川崎地質株式会社 環境省指定調査機関 環2003-1-5
ムラタ計測器サービス株式会社 環境省指定調査機関 環2003-1-292
2.分析機関名および許可番号(汚染状況を分析した会社)
日本環境株式会社 計量証明事業登録東京都第497号
株式会社総合環境分析 計量証明事業登録神奈川県第97号
株式会社環境管理センター 計量証明事業登録東京都第485号
ムラタ計測器サービス株式会社 計量証明事業登録神奈川県第11号

 

Q.「汚染は無くなった」「鷺沼4丁目はもう無事だ」と公式発表してほしい。東急HPでもいい。記者発表して、せめて新聞の田園都市版にでも記事が載るようにしてほしい。
A.その件は社内調整中だが、社に持ち帰って検討する。(と、東急電鉄担当者2名が、2名とも約束をした)

Q.工事が終了した今後、この土地の管理体制はどうなるのか。関係者全員、撤退するのか。
A.管轄としては東急電鉄の住宅部で継続して管理する。東急建設の現地事務所も継続し、少なくともあと1〜2年は現状から変わらない。

Q.「あと1〜2年」の後はどうなるのか。いつしか、いつの間にか誰もいなくなるようなことはないか。
A.いつ、どのようになるかは今はわからないが、もし「すべて終了、完全撤収する」などとなる場合には必ず事前にお知らせをする(と、東急電鉄担当者が約束をした)

Q.(近隣住民が最も関心を持つ)「今後の土地利用」はどうするつもりか。
A.05年11月に住民側から受け取った「住民案」は受理したが、実際の予定は未定である。何かを建設するにしても環境アセスが必須となるので時間はかかる。それまで暫定的に、敷地の一部を東急建設の資材置き場に使う予定。フェンス、鉄板、U字溝、パイプなどの仮設材を置く(すべて4トン車で運搬できる範囲の大きさのもの)。

Q.(現地の、いまの何もない景色がよいので)資材の置き方で見た目が悪くならないよう配慮がほしい。
A.配慮する。市道側からなるべく見えない位置に置くように心がける。



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