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スマホ、コンビニ…逆風の中、最高益を出した背景には

2012.2.10 21:52更新

 企業業績が急速に悪化するなか、逆風をはね返し、過去最高の利益をたたき出す企業も少なくない。小売りや外食など内需型では、消費者のニーズに的確に応え、支持を獲得した企業が“勝ち組”となっている。IT業界では、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及という追い風をとらえた企業が絶好調だ。円高を逆手に海外投資を積極化する商社も大きく業績を伸ばしている。

内需関連

 「構造改革が外的環境の悪化を上回る成果を上げた」。日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸最高経営責任者(CEO)は決算発表会見でこう胸を張った。

 不採算店舗を大量閉鎖する一方で、大型店や新業態店を積極的に出店。さらにポテトなどの割引キャンペーンと、高価格帯の期間限定商品を次々に繰り出す“二極化”戦略を進め、集客力をアップさせることに成功した。23年12月期の最終利益は、前期比69・1%増の132億円に達した。

 「近くて便利」な存在が東日本大震災で再評価されたコンビニエンスストア業界も最高益ラッシュだ。ローソンは24年2月期の営業利益を10・7%増の615億円と見込む。店舗過剰による飽和が指摘されているが、新浪剛史社長は「スーパーの代わりとして、まだまだ市場は拡大する」と強気だ。

 サントリーホールディングスは、震災後の需要拡大でミネラルウオーター「天然水」の販売量が23%増と大幅に伸びたことなどが貢献し、23年12月期に営業、最終利益で過去最高を更新した。佐治信忠社長は「付加価値の高い商品を出していく」とし、安売り合戦と一線を画す。

IT関連

 スマホ特需の最大の恩恵を受けているのが、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を販売するソフトバンクだ。23年4~12月期の営業利益が前年同期比10・5%増の5327億円と、7年連続で過去最高を更新した。孫正義社長は「29年3月期に営業利益1兆円を目指す」とぶち上げた。

 老若男女に広がるソーシャル(交流)ゲーム各社も活況だ。「探検ドリランド」など自社開発ゲームでヒットを連発したグリーは24年6月期の業績予想を2回も上方修正。営業利益は800億~900億円と当初予想のほぼ2倍に達し、上場来5年連続の過去最高更新となる。減速が指摘されていたディー・エヌ・エー(DeNA)も「(足元は)新タイトルの投入で盛り返している」(守安功社長)としており24年3月期は8年連続の最高益更新となりそうだ。

資源関連

 大手商社では7社のうち三井物産、伊藤忠商事、住友商事の3社が23年4~12月期に最終利益で過去最高益を更新した。

 大手商社は世界各地で石炭や鉄鉱石開発などの資源開発に積極投資をしており、需要拡大に伴う資源価格の高騰が収益を押し上げた。海外での購買力が高まる円高メリットを生かし、発電など新興国のインフラ事業の買収も活発化させており、海外子会社から受け取る配当金も増えた。

 住友商事の加藤進社長は「海外の優良資産を購入する絶好のチャンス。積極投資で将来の飛躍につなげたい」と意気込んでいる。

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