甲状腺がん、深刻被害なし 米学者、日本政府に苦言も【ニューヨーク共同】29日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、福島第1原発事故の影響について、年月を経て甲状腺がんの発生があり得るが、事故との関係を統計的に証明するには少なすぎる数にとどまるとの専門家の意見を伝えた。深刻な健康被害が出るとはいえないとしている。一方、日本政府の説明への苦言も紹介した。 この専門家はコロンビア大で放射線の人体への影響を研究、CTスキャン規制強化などを求めているデービッド・ブレナー博士(57)。がんになる恐れがあるのは放射性ヨウ素に汚染された牛乳、水、農産物を摂取した子供だという。 政府の情報公開については「良い仕事をしていると思うが常にではない」と指摘。情報遅れのほか、牛乳や野菜から放射性ヨウ素が発見され、当初安全だと説明したときには驚いたといい、「これらを食べるリスクを冒す必要はない」とした。 この日の同紙は別の記事で、福島の事故をきっかけにした米国の原発の安全性論議も伝えた。 石炭火力発電所の公害による死者は、原発事故の死者より多いとの意見を「米中枢同時テロの世界貿易センタービル崩壊に注目する必要はなく、道路横断中に死ぬ人の方が多いというようなもの」と指摘。リスクを正しく計測する方法はなく、個人の感じ方の問題でもあるとの研究者の意見を紹介した。 【共同通信】
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