風味堂妄想考作室
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批評の書き方
朝○カルチャーセンターで東浩紀の「批評の書き方」なる講座を受けてきた。
講座内容は引用すると、

批評とはなにか、などというむずかしい議論は別にして、
批評文にもそれなりの技術が必要です。
東浩紀が、自分の評論を自己添削する方式で、
批評を書くときにどこに気をつけてどのような言葉を選ぶべきなのか、
きわめて実践的かつ具体的に語ります。
繰り返しますが、批評の本質論などは語りません!(笑)


ということだったので、
批評を書く上でどういったことを気にしているのか気になったので聞いてきた。
実際適当な感じで進むんだろうなと思ってたら案の定笑いも取りつつゆるく終わった。
しかし内容的にはへーっと思うことも多く中々に楽しめたので、3000円も無駄ではないかなという感じ。

で、有料講座なので、どこまで内容を書いていいのかわからないが、
個人的に備忘録として書いておきたいので、書いておく。
苦情がきたらその時消しますw

当然ですが、個人的なメモなので実際の内容とは違いますし、私が勝手に解釈した部分が多分に含まれますので、ここに書いてあるからといって東浩紀はこうやって文章を書いているんだ!などと思い込まないでください。あくまで東浩紀がこういう手法を取っているかもしれないというだけです。



■ 作家主義と二次創作主義

 東浩紀は今回の講座で批評の形態として作家主義二次創作主義を紹介していた。この名称は造語(?)らしいので一般的でもないと思う。
 作家主義は柄谷行人を筆頭に多くの人がよくやる手法らしく、ある作家Xをどこでもいいので前期と後期に分けて、前期において「XはAをやっていた」、しかし後期において「XはAをできなくなって困難におちいる」という流れで作られる手法らしい。批評家が作家の中に困難を見出すことによって、作家に共振していくロジックだそうだ。このロジック自体には政治性が入れにくいので、前期後期の分割に政治的な分割、例えば9.11とか湾岸戦争とかを入れるとグッとそれっぽくなるとか言っていて笑いを取っていたが、実際なるほどなーとは思って面白かった。
 二次創作主義は東浩紀が考えている手法だそうで、ある問題を作品や作家とは別に想定して、それの解決において、作品や作家をパッチワーク的に当てはめていく手法らしい。ここで作家や作品はあくまで解決の材料としてしか使われないとのこと。著書としてはゲーム的リアリズムの誕生や現在ミステリーズで連載中のものがそれに当たる。ミステリーズの連載はセカイ系について新井素子や押井守らを使って書いているようだ。

※以上のことに関してはてなのエントリーに東浩紀自身が以下のように書いてました(09.02.11追加)


ところで、そこで言ったことですけど、ぼくは基本的に、あるタイプの文芸評論はだれにでも簡単に書ける、と思っています。だからこそ、そんな講義も引き受けたわけです。

その理由は、柄谷行人以降に書かれている多くの評論が、じつはぼくが「前期/後期モデル」と呼ぶある単一のフォーマットに則って書かれているからです。

それはこのようなかたちをしています。批評の対象となるのがXという作家あるいは思想家だとしましょう。すると、そのフォーマットに則ると、つぎのような批評が書かれます。「Xには前期と後期がある。前期XはAをテーマにしている。そして後期Xは一般にはダメだと言われる。しかしじつは、後期XはAを突き詰めたがゆえに、むしろ困難Bに立ち向かっているのだ。ではそのBはなにか。ぼくたちもまたそこでXと同じ困難に直面せざるをえない」云々。ここでのポイントは、作家のなかに「困難」を見つけ、それと書き手が共振すること。そしてその「困難」を見つけるために、作家のなかに前期と後期という(名指しはなんでもいいのですが)、一種の切断線を導入することです。このふたつができれば、批評の90%は完成したと言っていい。

実際、柄谷行人以降、あるいは批評空間以降の批評言語に親しんでいるひとであれば、じつに多くの書き手が、無意識のあいだにこのようなレトリックに絡め取られていることがわかると思います。というか、柄谷さんがこのフォーマットの創始者です。Xに、ウィトゲンシュタイン、カント、マルクス、フロイト、なんでも挿入してみてください。『探究』はその点から見ると、ミニマリズムのような反復の本です。

このフォーマットをどのように利用すると「深そう」に見えるのか、そしてどのようにまわりに装飾を張り巡らせるか(たとえば政治性があるかのように見せかけるか)、そこらへんのテクニックについては、朝カルの講義で言いました。だから繰り返しませんが、いずれにせよ、ぼくはつねに思うのですけど、批評家志望のひとはまずこのフォーマットを頭に叩き込めば、驚くほど簡単に「批評らしきもの」が書けるはずなのです。いや、実際にそうです、実例がぼくです。20歳代前半のぼくはまさにそのようにして書いていました。

しかし同時に、だからこそ思うのですが、このフォーマットは、あまりに強い批評生成力をもっているがゆえに、むしろ使うべきではないといまのぼくは考えています。じつのところ、『存在論的、郵便的』というのは、ぼくがこのフォーマットから逃れるために記したような書物です。「前期デリダは脱構築を主題としている。後期デリダはダメだと言われる。しかしじつは、後期デリダは、脱構築を突き詰めたがゆえに、むしろ奇妙なテクストを書くようになったのだ」云々。それはまさに前期/後期モデルです。だからこそぼくは、その本当は名指しえない実践を、あえて「郵便的」と名指し、語り続けることで、「困難」との共振に帰着してしまう柄谷さん的な隘路から逃れようとしたのでした。




■ 実際の執筆段階

 実際の執筆段階については一応フローがあるらしいので、それについて。

 1.テーマを考える
   → でも、何も思いつかないw

 2.とにかく書き始める
   ここで書き始めるのは 〆切-(枚数/5) くらいの日程らしいw
   40Pの連載で1/31が〆切なら 31-(40/5) = 23 で、1/23が目安にwww
   書き始めるテーマはこれなら何かイケそうじゃね?というテーマを適当にらしい。

 3.なぜ、そのテーマを選んだのかを書く
   自己探求は誰にでもできる!そうだ。
   唯一の注意は私小説にならないようにすること。
   これを書くことによってページ数は埋まるし、テーマを自分に納得させられるし、
   同時に他人も納得させられるので、それらしくなっていく。

 4.想定されている疑問に答える
   自分が自分に感じている疑問をいかに言語化していくかの段階(?)
   具体例がメモってなくてどんなのだったか思い出せない。俺ひどいな。
   ちなみにココまでの段階でAmazonを使って関連本を購入するそうだ。
   関連本購入によって読まなくても個人的にテンションが盛り上がってくるらしいwww

 とまぁこんな感じで書き始めればページの1/2〜2/3は埋まっていて、安心感が出てくるし、実際に論じたい内容も明確になるそうだ。しかし、なんて行き当たりばったりな制作方法だと感じてしまう。仕事であるから大学のレポートほど適当ではないが、連載の次号予告時には全く構想が練られていないとかやりすぎだろとwww


■ 文章構造

 制作手法とは別に文章構造で以下のような構造になっているらしい。
 

段落ユニット

段落

段落

 ※一行空ける

段落ユニット

段落

段落


 ちなみに段落ユニットと段落ユニットの間の1行は非常に重要らしい。というか実際に本になってどのように見えるかを意識するので、製作段階から一行にはいる文字数や段落ユニット間の間などが重要で、編集の人とかに直されたりして困ることがあるそうだ。


■ 批評文における小技

 では以下に意識しているらしいことなどを箇条書きで。

・段落ユニットを書く上で意識するのは新書の小見出しで、これはキーワードとも言える

参照可能性 引用されやすい文章を書いておく。たとえば「押井は、政治的な不可能性を描いた作家である」とかで、他の人が読んだときに○○において「□□だ」と言われていているとかされやすくする。

並列に並べる時に文体を似せる。たとえば「第一の段階として、○○は□□だ。うんたらかんたら。第二の段階として△△は××だ。うんたらかんたら。」

何で私はこれを書いているのかを書きながらテーマが降りてくるのを待つ。というか何で私はこれを書いているのかがわかればその批評はほぼ成功しているそうだw

同じ構造を持つユニット内で内容だけ変えて繰り返す。文体とも似ているが、段落ユニットでも動揺の構造を取ると明確になる。まぁ理系的な文章とも言えるのかな。

・OEDを使って語源を調べると信憑性がでる。批評では著者が勝手に仮定したりしないといけないが、それをさも一般的ことがらのように読者に見せるのに有効だそうだ。

脚注や()での説明を極力入れない。小説やマンガで登場人物が説明セリフを言い出すとこの作者下手だなと思うように、評論でも脚注や()での説明は極力避けるようにしているそうです。


■ 校正

段落を切ることが多い。段落がまとまっていないと著者の考えがまとまっていないように見えるため、校正段階で再度段落を増やすことがあるそうです。

・違うスピードで読む。校正する際には作成時とは違ったスピードで読むと見え方が違うそうです。て、当たり前だわな。




とまぁ以上が大体の講座メモ。
本当はもっと長くメモをとったけど、2時間以上の内容をまとめるのは厳しいし、
あんまり書いて目に付いて怒られるのもどうかと思ったのでここまでで。
って、こんだけ書けば十分注意対象かな・・・gkbr

まーいーやー

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