最新号:2012年2月 2日号
2010年3月18日号
○…栄図書館長に就任し、2年。舞台や音楽、映画、本などの評論を雑誌「ミュージックマガジン」に長年連載している活躍を買われ、今月20日にさかえdeつながるアート実行委員会が行う「アートdeスクール」で講師を務める。題材は「栄にあった大学・鎌倉アカデミア」。戦後、鎌倉から栄の海軍燃料廠跡に移転し、作曲家や作家など多くの著名人を輩出した同校について、当時の様子が分かる映像や資料などを使い、説明する。
○…中学生の時、空想科学(SF)映画に魅せられた。大学では、演劇研究会に入り、俳優や舞台監督、大道具などを経験し、舞台の虜に。しかし、「演劇で飯は食えない」と就職先には横浜市職員を選んだ。「横浜は日活映画の中で、夢のような都市」。そんな地で働いてみたい−。しかし、実際は「違ったね、全然違った。田舎だった」と苦笑い。魅惑の都市を作り上げた映画制作の技術に改めて驚いた。
○…趣味が高じて編集部に映画や舞台の評論を送り、「ミュージックマガジン」に連載を始めたのは1982年から。舞台を作る側を経験しているだけに見る目は厳しく、今日まで「辛口」がウリだ。99年にはそれまでの連載をまとめた「いじわる批評、これでもかっ!」を晩成書房から出版した。「日本演劇界は作る側も観る側も甘い。金を払っている以上、プロも新人も関係ない」。海外演劇の国内上演がほとんどない日本では競争が少なく、日本の演劇界は緊張感がないとみる。「物事を踏まえないと発展はしない。才能だけではだめ。古典的な芝居を勉強して演劇を作ってもらいたい」将来の演劇界を担う人たちに、そう投げかける。
○…これまで、議会や福祉、国際分野に市職員として関わっていたが、栄区での仕事は初めて。「住民が良い。環境に満足しているのだと思う」と印象を話す。「現在は過去の上にある。振り返ってみることも必要」。そんな思いで「鎌倉アカデミア」を地域に伝える。