一例として、韓国国債を今年1月末現在で10兆2372億ウォン(約7050億円)保有し、韓国に対する世界3位の債券投資国となった中国は、2010年に4兆6970億ウォン(約3230億円)の純投資(債券購入規模から満期到来償還分を差し引いた額)を行い、昨年の純投資も3兆6609億ウォン(約2520億円)に達した。しかし、中国による純投資は、昨年12月の時点で340億ウォン(約23億円)だったが、今年1月には70億ウォン(約5億円)となり、投資規模が一気に急減している。
事前通知要求の最初の交渉対象に含まれたマレーシアは、10年の2兆2229億ウォン(約1530億円)に続き、昨年は3兆7059億ウォン(約2550億円)を韓国国債に純投資した。これに対し、タイは今年1月末現在で韓国国債を9兆6000億ウォン(約6610億円)保有しているが、純投資の規模は10年にマイナス1兆8708億ウォン(約1290億円)、11年にはマイナス5億1139億ウォン(約3520億円)となるなど、投資が急速に減少している。
外資系証券D社の債券投資担当役員は「韓国債を大量に購入した中国、マレーシアなどが自国の事情や金融市場での資金調達困難などを理由に、一気に資金を引き揚げれば、韓国の金融市場がショックを受けかねない」と指摘した。
債券投資資金が流出すれば、外国為替市場で大量のウォン売りが出て、ウォン安が進み、国債利回りが上昇する。金融研究院の金泰俊(キム・テジュン)院長は「過去には株式に投資された外国人の資金が為替と株式市場に影響を与えたが、現在は債券投資も無視できない規模になっており、細かい監視が必要だ」と述べた。
実際に、外国人投資家が保有する上場債券の残高は、今年1月現在で84兆6000億ウォン(約5兆8000億円)に達した。ただし、割合を見れば、上場債券全体の6%にとどまっており、依然として高いとは言えない。
しかし、外国人は最近2-3年に発行された国債を大量に保有している。こうした国債は市場での取引が活発で、大量の売りが殺到すれば、波紋が大きいとみられる。韓国政府は詳細な数字を公表していないが、最近3年間に発行された満期国債の場合、一部では外国人の保有比率が20-30%に達しているものもあるとみられている。
外国人による韓国債への純投資は、欧州財政危機が悪化の兆しを見せた昨年11月には3369億ウォン(約230億円)、12月には3兆9000億ウォン(約2690億円)のマイナスとなったが、今年1月には1兆1600億ウォン(約800億円)のプラスに転じるなど、資金の流入と流出を繰り返している。
外資系証券B社の債券ディーラーは「企画財政部が国債銘柄別に外国人の保有比率を制限することや、金融機関の国債保有に限度を設ける案などを検討したと聞いている。しかし、そのような措置は資本市場規制として批判を受ける可能性があるため、政府は代替案を探っているのではないか」と指摘した。