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診療報酬改定:勤務医の待遇改善1200億円 「在宅」充実は1500億円

 厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は10日午前、12年度の診療報酬改定案をまとめ、小宮山洋子厚労相に答申した。病院勤務医の負担軽減に1200億円、6年に1度の診療・介護報酬の同時改定を踏まえ、介護との連携強化や在宅医療の充実に1500億円を重点配分するほか、医療費抑制の観点から入院の長期化につながる対応については報酬を引き下げることなどを盛り込んでいる。一部を除き4月から実施される。

 12年度の診療報酬改定は全体で0・004%増。手術料など「本体部分」の増額で得られる約5500億円のうち、4700億円を医科に配分する。歯科は500億円、調剤は300億円。

 1200億円を充てる勤務医の負担軽減策として、同じ病院で二つの診療科を受診する患者への治療に対し、2科目でも再診料を請求できるようにする。これまで再診料は、最初に受けた診療科のみ満額の690円を請求できたが、4月からは2科目でもほぼ半額の340円を求められるようにする。

 また1500億円を投じる在宅医療の充実では、常勤医師が3人以上で往診やみとりに一定の実績がある在宅療養支援診療所(病院)に関し、緊急時・夜間の往診料を引き上げる。現在6500円の緊急加算を8500円などとする。

 医療費抑制に向けては、金曜に入院したり、月曜に退院したりする患者の割合が4割を超す病院の土、日曜の入院基本料を減額する。金曜の入院や、月曜の退院では、診療のない土、日をはさんで入院期間が長くなるためだ。金曜の入院などを減らし、入院日数の短縮を促す。

 このほか、がん治療など新しい医療技術の導入に2000億円を充てる。

 政府は10年度の前回改定時、病院勤務医への配分を手厚くする目的で、あらかじめ財源4800億円のうち4400億円を入院医療に充てるとの大枠を決め、公表した。しかし、今回は開業医を中心とする日本医師会などの反発に配慮し、配分割合の公表を見送った。【山田夢留】

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 ◆12年度診療報酬改定の主な項目

 ◇救急、外科、産科、小児科などの勤務医の負担軽減

★小児に特化した特定集中治療室管理料(7日以内=1日15万5000円、8~14日=同13万5000円)

★容体の落ち着いた患者を一般病棟で受け入れ、患者の集中を避けた場合の加算(1日1500円)

★救急外来の患者に重症度に応じて優先順位付け(トリアージ)を行った場合の実施料(1000円)

★同病院で2科目の再診料(340円)を算定可能に

・患者からの電話に24時間対応する診療所の初・再診料の加算引き上げ(30円→50円)

 ◇医療と介護の役割分担、連携強化、在宅医療充実

・常勤医師数や往診・みとり実績が一定以上の在宅療養支援診療所(病院)は、緊急時・夜間往診料引き上げ(緊急時6500円→病床あり8500円、病床なし7500円など)

 ◇医療費の適正化など

・金曜入院や月曜退院が4割超の病院は土日の入院基本料を8%減額

・午前中退院が9割超の病院で、30日以上入院した患者が退院日に高度な治療を行わない場合は退院日の入院基本料を8%減額

・薬局での後発医薬品の使用促進(後発医薬品を調剤した割合が22%以上は50円、35%以上は190円など)

★医師が成分名で処方し、薬局が後発医薬品を使いやすくした場合に加算(処方箋1回20円)

 ※★は新規

毎日新聞 2012年2月10日 東京夕刊

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