最良の斧の柄とは?
ネットで薪ストーブ店のホームページを検索し、斧(欧米製)の紹介記事に目を通す。
西洋斧の最大の特徴といえば曲線美を誇る柄。その柄の材質は、大抵の場合「ヒッコリー材」を詠っている。
アメリカ原産の落葉広葉樹・ヒッコリー。団塊ジュニアなつかしの「シートン動物記」では、その実がリスの大好物として記されているクルミ科の樹木。わが国でもクルミ材は高級家具材として珍重されるが、欧米でもクルミ材、そしてヒッコリー材は強靭さを買われ、酷使される斧の柄に使われているのだ。
斧の柄に用いるヒッコリー材は、「二次林育ち」。つまり元の原生林が伐採されるか山火事に遭うかして消失したのち、自然に再生した「新しい森」で育った木のものがよろしい。
そして、丸太の中心の赤い部分「心材」ではなくて、周囲の白い部分「辺材」を選ぶこと。
「ヒッコリー」 「二次林産」 「辺材」。
これが「素材」の鉄則。なおかつ、年輪が詰まったきめ細かいものがよろしいが、1インチ(訳3cm)の間に
材料を手に入れたら、次は「木取り」。木目の流れをよく読んだ上で、最良の形に柄を切り出す。木取りを誤った作られた柄は過激な使用に耐えられず、折れて大事故につながってしまうから恐ろしい。
柄は必ず、一番上の図のように「木目が柄の流れと平行」な木取りにすること。下図のような柄と木目が直角な木取りにすれば激務に耐え切れずポッキリと折れてしまう。もっともこんな「贅沢」な木取りを許されるヒッコリーの巨木を手に入れられるはずも無いのだが。
そして、断面の木目は左図のように、刃の流れと木目が平行であること。逆ならば柄は脆く、やはり事故につながりかねない。
左側が好ましい木取りの柄。右は木目が刃と直角になるため、使用に耐え切れず折れる恐れがある。
さて、上記の如く木目の配置に気を配って「最良の柄を持つ斧」を探し出そうとしても、重大な障害が待ち構えている。それは「塗装」だ。斧の柄を水や汚れから守るためにニスを塗り、あるいは緑一色の山中で無くした際でも目立つように、赤い塗装をほどこす。実際、真っ赤に塗られた斧の柄は山中ではおもいっきり自己主張してなくし物を避けるが、斧の木目を隠してしまう。
見つけ出しやすい斧は、柄にどんな材が使われているのか…
重さ6ポンドの刃に見合った柄の長さは32から36インチ(90cmほど)。もっとも細かい作業に使う手斧は柄が短く、伐採や薪割用の斧は柄が長い。
伐採用のシングルビットアックス(片刃斧)はfawn's foot(小鹿の脚)とも称される曲線美を描き、両側から力が加えられるダブルビットアックス(両刃斧)か薪割り専用の刃の厚い斧は直線的な柄を描いている。
柄の断面は、八角形か楕円形が握りやすくて使い良い。
軽い斧は柄が短く、重い斧は柄が長い。
昨今、幅を利かせているグラスファイバー製の柄は強靭で、まず折れることが無い。
しかし手に伝わる温かみ、汗など余計な水気を吸い取る長所、そして自製できるという汎用性を考えれば、木製の柄に軍配が上がるだろう。
現在、日本に流通している西洋斧のヒッコリー柄では、やはりグレンスフォシュ社の製品が白眉だろうか。握った手に伝わる感触はサラリと優しく、手袋を嵌めようと思いつかないほど。なじみよく、充分に仕事をこなしてくれる。
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