「人の短(たん)をいふ事なかれ、己が長(ちょう)をとく事なかれ」
これは松尾芭蕉の有名な句。
「物いへば唇寒し秋の風」の前書きに、
「人の短をいふ事なかれ、己が長をとく事なかれ」とあるものです。
意味は。
人の短所を軽率に指摘してはならない。
自分の長所を誇らしげに、自慢してはならないということです。
人の短所について、無遠慮に指摘することは、相手への侮蔑になります。
従って相手も素直になれず、不快に思うでしょう。
これでは、たとえあなたの言っていることが正しくても、お互いに不和になるだけです。
言うときは時と場所と場合によるのです。
つまり一般的にTPOと言われているものです。
また、自分の長所もあまり語るべきではありません。
特に人に何かしてあげた時は、そのことをいつまでも意識しないことです。
何故なら、自分のしたことを他人に話し、褒めてもらいたいという欲求が生まれるからです。
おごり高ぶりは、このような意識から起こるものです。
そして、おごり高ぶる人は、もうすでに報いを受け取ってしまっています。
逆に人から助けてもらったことは、その感謝をいつまでも忘れないことです。
感謝を忘れない人は、より多くの恵みを得ることができるでしょう。
感謝をする人は、相手からも感謝されるからです。
聖書より、人の短所を非難することについて。イエスは次のように言っています。
「また、なぜあなたは、兄弟の目の中のちり(非)に目をつけるが、
自分の目の中の梁(大きな非)には気がつかないのですか。
兄弟に向かって、『あなたの目のちりを取らせてください。』などとどうして言うのですか。
見なさい。自分の目には梁があるではないですか。
偽善者たち。まず自分の目から梁を取りのけなさい。
そうすれば、はっきり見えて、兄弟の目からも、ちりを取り除くことができます。」
マタイによる福音書7章4,5節
聖書より、施しについて。イエスは次のように言っています。
「人に見せるために人前で善行しないように気をつけなさい。
そうでないと、天におられるあなたがたの父から、報いが受けられません。
だから、施しをするときには、人にほめられたくて会堂や通りで施しをする偽善者たちのように、
自分の前でラッパを吹いてはいけません。
まことに、あなたがたに告げます。
彼らはすでに自分の報いを受け取っているのです。
あなたは、施しをするとき、右の手のしていることを左の手に知られないようにしなさい。
あなたの施しが隠れているためです。
そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。」
マタイによる福音書6章1〜4節
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