原子力の安全に関する国の審議会などの委員について、原子力安全・保安院は、合わせて24人が電力会社から報酬を受けるなどしていたものの、審議に影響はなかったとする調査結果を発表しました。
しかし、委員の名前や金額、会社名などは明らかにせず、専門家は「検証ができるような公表の仕方にすべきだ」と指摘しています。
原子力の安全に関する国の審議会の委員については、中立性を確保するため、原子力安全・保安院が、委員を選ぶ前に電力会社などの利害関係者から報酬を受けて研究をしていないかなど自己申告するよう求めています。
保安院は、申告内容についての情報公開請求を受けたことから、ことし1月1日現在で、委員を務めている大学教授ら256人について調査した結果をまとめ、9日に発表しました。
それによりますと、電力会社や原子力関係のメーカーなどの依頼で、講演したり、研究活動をしたりした人は合わせて24人で、このうち12人は実際に報酬や謝礼を受け取っていました。
ただ、いずれの活動も一般的な講演や研究テーマで、審議には影響しなかったとしています。
しかし、発表したのは人数だけで、委員の名前や金額、会社名などは「個人情報に当たる」として明らかにしませんでした。
これについて、情報公開に詳しい一橋大学の堀部政男名誉教授は「原子力に対して国民が不安を抱く中で、安全性を審議する委員がどういう利害関係にあるのかは極めて重要な情報だ。今回の公表の仕方は極めて不親切で、検証ができるような公表の仕方にすべきだ」と指摘しています。
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