〈まちの埋蔵文化人〉「三丁目」へ ひとっ飛び

写真・図版

昔懐かしい雑貨が所狭しと並ぶ倉庫は、駄菓子屋さながらにレイアウトされている=兵庫県たつの市、伊藤菜々子撮影

写真・図版

昔懐かしい雑貨が所狭しと並ぶ倉庫は、駄菓子屋さながらにレイアウトされている=兵庫県たつの市、伊藤菜々子撮影

■「ALWAYS」に一役 昭和グッズコレクター 平松真一さん(57)

 公開中の映画「ALWAYS」第3作「三丁目の夕日’64」。吉岡秀隆演じる小説家・茶川竜之介の自宅は、子供向けに駄菓子などを扱う商店でもある。店には新幹線のおもちゃ、ブロマイドなどの雑貨が置いてある。

 そこには、兵庫県たつの市の中学校教師・平松真一さん(57)が貸し出した物も数多く並んでいる。

 「2005年11月、姫路の映画館で見た『ALWAYS』第1作に感動して、私が集めた雑貨が役立つのではと思い、映画の装飾担当、龍田(哲児)さんに宛てて手紙を出したのが発端です」

 1年後、平松さんを訪ねた龍田さんは驚いた。「収集家が欲しがる高価な雑貨ではなく、当時の子供が小遣いで買ったような物を探していた。それがあった」

 虫取りの網や虫かご、銀玉鉄砲、めんこ、ビニール袋に入った釣り糸とうきのセット、おもちゃの組み立て式グライダー、アップリケ、中身の入ったサイダー瓶とケース、駄菓子用ガラス容器……。80平方メートルほどの元農機具置き場に保管されている膨大な昭和グッズは、まさに「宝の山」だった。

 さっそく、第2作「続・三丁目の夕日」に登場してもらった。茶川商店の雑貨の8割近くが、平松コレクションだ。その縁で、第3作でも借り受けた。

 平松さんが収集を始めたのは13年前。「子どもだった昭和30年代の雰囲気を再現しようと考えたのがきっかけです」

 姫路や神戸など兵庫県内を始め、岡山県の倉敷などにも足を延ばして骨董(こっとう)市を巡った。廃業した駄菓子屋があると、出かけていった。「小遣いの範囲で買い集めたので、1点1万円以上の物は三つしかない。あとは数十円から数千円の物ばかり。何点あるか? 数えられません」

  

■映画見て妻が変心

 妻・久恵さん(44)は「夫が亡くなったら、すべて捨てようと思っていました。でも映画を見て考えを変えました」。「これも『ALWAYS』のおかげです」と平松さん。(長谷川千尋)

動画

フラガールの舞台、全面再開

更新情報

  • アスパラプレミアム