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2012年2月10日3時5分

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東電経営、国が実質支配 議決権3分の1超取得で調整

図:議決権取得による経営への影響力拡大議決権取得による経営への影響力

 政府と東京電力は9日、政府が東電に公的資金を入れるのに伴い、少なくとも3分の1を超える議決権を取得する方向で調整に入った。これで経営の重要事項を決める際に「拒否権」を持ち、政府が東電の経営を実質支配することになる。

 東電が合併や増資、事業譲渡などをしようとしても拒否できるため、経営は政府が認める方向で進めざるを得ない。経済産業省は、手続きの遅れが指摘される福島第一原発事故の賠償や廃炉を円滑に進めるよう東電に促す。「発送電分離」などの電力改革に合わせて、東電の事業を見直すことも視野に入れている。

 政府は「原子力損害賠償支援機構」を通じて1兆円規模を出資する方針。福島第一原発の廃炉費用などがかさみ、東電がいずれは資産を売っても借金をすべて返せなくなる「債務超過」に陥るからだ。今の東電の株価の時価総額は約3100億円なので、出資によって政府が発行済み株式の3分の2超を持つ。

 経産省などは当初、議決権付きの普通株などを持つことで議決権の過半を取り、取締役の選任などができるよう経営権を握って「実質国有化」をしようとしていた。ただ、出資はしても優先株などで議決権を持たない選択肢もある。このため、政府が議決権をどれだけ持つかの調整を進めている。

 東電は政府が経営にかかわることに慎重だった。だが、公的資金を受け入れなければ経営が成り立たないため、「(3分の1超の議決権は)仕方がない」(幹部)との方針に転じた。

 政府内でも、財務省が過半を握ることに難色を示している。賠償や廃炉などを政府が直接負担することにつながって財政負担が増えるためで、公的資金は議決権のない優先株などで入れるよう求めている。ただ、3分の1超なら影響は小さいとして反対しない方向だ。

 今後の焦点は、議決権の割合を過半まで増やすかどうかになる。実質国有化に積極的な経産省、支援機構と、反対する財務省、東電の間で、さらに調整を進めていくことになる。

 東電は、原発事故の収束費用や、大幅に増えた火力発電の燃料費で収支が悪化している。2012年3月期決算(単独)の純損益は5750億円の赤字の見通しだ。借金などを除いた純資産は事故前の2兆6千億円から、7千億円に減る。

 今後は原発の廃炉費用もかさむ。公的資金を受け入れないと、債務超過になって経営破綻(はたん)し、原発事故の賠償や電力供給に支障が生じかねない状況になっている。

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