民主党の年金作業チームは9日、野田政権が実現をめざす高所得者の年金減額と、低所得者の年金上積みの具体案を示した。年収850万円以上の人から基礎年金を減らし始め、1200万〜1300万円程度で最大月3万2千円を減額。低所得者には一律月6千円を加算した上で、保険料の免除期間に応じてさらに最大約1万円を上乗せする。
年金の増減案は、政権が消費増税に伴う低所得者対策と財源確保策として検討してきた。この案をもとに詳細を詰め、3月に関連法案を国会に提出する方針。税率が10%に上がる2015年度中の実施をめざすが、野党の反発も予想され、先行きは不透明だ。
高所得者の年金減額では、厚生労働省が、税金を財源とする部分(基礎年金額の半分、実施時点で約3万2千円の見込み)を年収1千万円の人から徐々に減らし、1500万円ですべて減額する案を示したが、党の作業チームは対象をさらに拡大。捻出できる財源額は450億円から650億円に増える。民主党が公約する「最低保障年金」が、中・高所得の人に支給しない想定になっている点に合わせたとみられる。すでに年金をもらい始めている人も減額する方向で、約24万人が対象になる見込みだ。