太平洋セメントが9日発表した2011年4~12月期連結決算は、経常利益が前年同期比7.1倍の103億円だった。首都圏や大阪でマンションや商業施設の建設が活発となり、セメント出荷量が回復した。東北では河川の堤防向けなど東日本大震災の復興需要も出始めており、収益に寄与した。
売上高は微増の5398億円だった。セメント出荷量は前年同期比2%増の1100万トンだった。東京都や神奈川、埼玉県など首都圏を中心にマンションの建設が増加。大阪市では「梅田北ヤード」の大型再開発向けにセメントが伸びた。
復興需要も業績を押し上げた。国内出荷量の1割弱を占める東北向けは震災以降、前年同月比3~4割減っていたが、12月単月では1割近く増えた。阿武隈川の堤防や岩手県内の港湾復旧工事向けに出荷が拡大した。東京電力福島第1原子力発電所の消波ブロック向けもあったという。
構造改革の効果も大きい。10年秋に3工場でセメント生産を停止、1000人以上の人員削減にも踏み切った。合理化で損益分岐点が下がったところにセメント需要の拡大が重なり、利益が伸びた。昨秋にセメント価格を1トン当たり最大500円(5%)値上げした効果も出た。
海外部門の営業損益は35億円の赤字(前年同期は46億円の赤字)だった。中国やベトナム向けは伸びた半面、米国は生コンクリートの価格下落で採算が悪化した。
最終損益は10億円の黒字(同55億円の赤字)に浮上した。
12年3月期通期は経常利益で前期比2.5倍の182億円とする従来予想を据え置いた。復興需要のほか、震災後に中断していた工事も再開しつつあり、国内のセメント出荷量は現時点で想定を上回っている。収益は上ぶれする可能性がある。
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