驚異の12段構成。
本当にあなたのレビューはどれも長すぎます。
この程度のレビューしか書けないのに他人様に
「☆の数を変更しろ!」
などと言う権利はあなたにはありません。
ネタバレしまくりのレビューしか書けないところを見ると、
よほど読者の楽しみを奪うのが好きなんでしょうね。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By
レビュー対象商品: でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫) (文庫)
自殺強要を含む壮絶ないじめを小学校教師が児童に対して行っていたことが発覚。ところが,実はそれらは児童の両親による狂言だった,というノンフィクション。2007年に単行本化された時点では法廷闘争が2審で続行中だったため,出版後の経緯は「『でっちあげ』事件,その後」として新潮社のウェブサイトにまとめられた。2009年末の文庫化では,「その後」が収録されている。
この事件は映画化されてもよいくらいにスリリングだが,内容はある意味では単純だ。要するにモンスターペアレント(という用語は事件当時にはなかったが)の大ウソに周りの人間が翻弄されたという話である。ノンフィクションの素材としては極上の部類に入るだろう。しかし,誰が書いても面白く仕上がるというほど明快な構図を持った事件というわけではない。関係者の主張ひとつとってみても,両親(と児童)の主張,教師の主張,その雇用者で国家賠償請求訴訟の被告となった福岡市の主張,そして裁判所の主張(判決)がすべて異なるのだ。 著者はこの事件を解き明かす見事な枠組みを示してみせた。まず,本書が「教師 vs. 児童・両親」すなわち加害者対被害者という図式で組み立てられてはいないことに注意。もしそうなら,本書が教師をして「(児童)は,この事件の別の意味での被害者だ」(文庫p.299)と語らせることはないだろう。「教師 vs. 児童・両親」という構図では,両親と児童の潜在的な対立関係を十分に捉えられないのである。この点を読み違えると,“著者の視点は一方的(教師寄り)だ”という見当違いの批判をしてしまうことになる。裁判中に当事者双方から詳細な事情を聞くことなど不可能だ。本書が両親(とくに母親)の内面にほとんど触れていないのはそのとおりだが,この点を論難するのは誤読に基づいた不当な批判というものだ。 本書の最終章のタイトルは「偽善者たちの群れ」。具体的に「偽善者」が誰を指すのかは,305〜306ページに書いてある。その中には両親もいるが,彼らだけではない。児童はもちろん含まれていない。つまり著者は,この事件を「偽善者たちとその被害者」という図式で捉えているのである(ただし,筆者が用いる「偽善者」は,辞書的な意味とはちょっと異なる)。文庫版解説の有田芳生は,本書を「『公』とメディアの欺瞞を描いた傑作」と評しているが,このような視点が基本的には正しい。 以上を踏まえると,本書の優れている点は,以下の4つである。 第1に,関係者の氏名が原則として実名で書かれていること。しばしば誤解されていることだが,本来,実名表記は社会的制裁のためではなく,記事の真実性を担保するためになされるものである。実名で書かれた方は,文句があるなら公の場で反論すればよいのである。 第2に,必要十分な事実の収集がなされていること。児童の母親への考察が不十分な点が本書への批判とはならないことは,既に述べた。 第3に,文章の巧さ。複雑な事件の過程を余すことなく書き尽くし,ぐいぐいと読ませる手腕は素晴らしい。 第4は,著者が控えめに自己の見解を提示していること。事実を収集することは読者にはできない。それは著者の仕事だ。だが十分な事実が提示されれば,読者は意見をまとめられる。それが大人というものだ。著者自身の意見はあくまでも参考にすぎない。 私は必ずしも著者の見解に賛同はしないが,それでも自分の意見をまとめるのに十分な資料を本書が提示してくれていることに,正直驚いた。下手な執筆者だと(まあ誰とは言いませんが。哲学),自分の意見を押し付けようとして集めた事実を取捨選択してしまうのだが,本書はそうではない。 短所をあえて上げるとすれば,裁判制度に対する理解が不十分な点。とくに「事実認定に曖昧さを残す民事訴訟」(p.274)というのは意味不明だ。判決が玉虫色の結果となったために,説明に苦慮している様子が伺えるが,その理由は事実認定の有無というよりも,制度上の限界と言ったほうがいくらか正確だろう。簡単にいえば,第1審は原告(両親ら)と被告福岡市,被告教師の3面訴訟なのだが,これは要するに「原告 vs. 福岡市」「原告 vs. 教師」の訴訟を一緒にやっているだけだから,福岡市の主張に文句があっても教師としてはその主張を妨げる方策がない。他人間の紛争なんだから。これが「一部敗訴」の理由のひとつである。もっとも,「その後」では著者が勉強している様子が伺える(pp.328-329)。 事実に反する訴訟を提起された,という内容では,類書として判決 訴権の濫用や,うちのネコが訴えられました!?などがある。本書が第三者的視点で書かれているのに対して,これらは当事者視点で書かれたものだ。前者は池田大作レイプ訴訟(というタイトルでウィキペディアに項目がある)を扱ったもの,後者はもっと日常的な話題で,ブログの内容を書籍化したものである。
並べ替え: 古い順 | 新しい順
このトピックの全投稿2件中1件から2件までを表示
最初の投稿:
2012/02/09 9:37:09:JST
投稿者により編集済み(最終編集日時:10時間前)
驚異の12段構成。
本当にあなたのレビューはどれも長すぎます。 この程度のレビューしか書けないのに他人様に 「☆の数を変更しろ!」 などと言う権利はあなたにはありません。 ネタバレしまくりのレビューしか書けないところを見ると、 よほど読者の楽しみを奪うのが好きなんでしょうね。
前の投稿への返答(返答日時:
2012/02/09 20:33:15:JST
)
コメントを投稿するのは自由ですが,私はもうManbowさんの相手はしませんよ。理由
http://www.amazon.co.jp/review/R11CRSAS37FBJP/ref=cm_cr_rev_detmd_pl?ie=UTF8&cdForum=Fx270PUJHI2AYH5&cdMsgNo=2&cdPage=1&asin=4904795075&store=books&cdSort=oldest&cdThread=TxNDF2S4CI9X9D&cdMsgID=Mx9UETFPJC58R9#Mx9UETFPJC58R9 それにしても,形式段落と意味段落の区別も付かないなんて,ちょっと恥ずかしいなぁ。
‹ 前 1 次 ›
|
レビュー詳細 |
チェックした商品の履歴 (詳細はこちら)
|
||