家計の経済指標、軒並み警告レベルに

 債務が増え続ける中、所得が減り、生活物価も上昇―。家計を取り巻く経済環境はまさに大ピンチで、警告のサイレンが鳴り響いている。

 まず、家計債務だ。金融当局と韓国銀行(中央銀行)によると、住宅担保ローン約400兆ウォン(約27兆3000億円)のうち、融資額が年収の4倍を超えているか、担保価値の33-50%を超え、ローン利用者の返済能力に比べ、融資額が過多と判断されるケースが、融資残高の4分の1に当たる100兆ウォン(約6兆8000億円)に達することが分かった。特に20兆ウォン(約1兆4000億円)は今年から元金の返済が始まるため、返済負担が重くなりそうだ。

 また、380万人に上る多重債務者は、借金を重ねて持ちこたえてきたが、金融当局がクレジットカードローンの抑制策を実施したことにより、借り入れが難しくなった。金融当局が銀行融資を引き締めたことで、ノンバンクによる融資が急増している。昨年11月には、銀行の家計向け融資が1兆4000億ウォン(約1000億円)増えたのに対し、ノンバンクによる融資は2兆3000億ウォン(約1600億円)増えた。ノンバンクによる融資の平均金利は年24.4%に達し、返済困難に陥ることが問題だ。

 家計の破産は、中産階級に拡大する兆しを見せている。信用回復委員会によると、昨年に月収300万ウォン(約20万5000円)以上の中産階級が債務再調整(自己破産手続きに相当)を申請した件数は480件で、前年を27.3%上回った。

 一方、昨年の勤労者の月額平均賃金(物価を考慮した実質ベース)で271万8000ウォン(約18万5000円)で、前年を3.5%下回った。物価はやや安定したが、庶民物価の上昇は続いており、今年1月は食料品と賃貸保証料がそれぞれ前年同月比で4.8%、5.1%上昇した。今後はバス、地下鉄の運賃など公共料金の値上げも見込まれている。

 家計の苦しさは、失業率と消費者物価上昇率を足した「経済苦痛指数」にも表れている。昨年の数値は7.4で、世界的な金融危機に直面した2008年(7.9)以来で最悪となった。

 現代経済研究院は、今年の「十大トレンド」のうち三つを家計問題から選んだ。▲余裕のない暮らし▲中産階級の崩壊と新貧困層の拡大▲厳しい雇用事情―など、いずれも暗い問題ばかりだ。

金正薫(キム・ジョンフン)記者
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