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最終更新:2012年2月9日(木) 2時59分

大飯原発「妥当」、最終取りまとめへ

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 福井県の大飯原発の運転再開をめぐり、安全評価「ストレステスト」の審査を進めている原子力安全・保安院は、近く「安全評価が妥当である」という結論を最終的に取りまとめることを決めました。再稼働に向けた技術面の条件がクリアされたことになりますが、地元からは慎重さを求める声が上がっています。

 「市民の目」が原子力安全・保安院の建J*$r
 「再稼働反対!再稼働反対!!」

 その喧騒をよそに会議は着々と進んでいました。原発の運転再開の前提となる「ストレステスト」の審査を進めている原子力安全・保安院。福井県の関西電力・大飯原発3・4号機について、専門家を交えた最終的な議論を行いました。

 関西電力が提出しているストレステストの評価結果。「地震の揺れの大きさは想定の1.8倍まで」「津波は想定の4倍の11.4メートルまで」安全性に余裕があることを確認したとするものです。ですが、会議では再稼働に慎重な委員から厳しい意見が相次ぎました。

 「“安全率”を吐き出すみたいな評価や考えのもとにストレステストをやると、地域の理解は得られないと思う」(専門家会議 井野博満委員)
 「地元の方の理解を得られたかどうかも含めて、最終的には政府全体として大臣クラスの政治的判断が得られるかどうか」(保安院の担当者)

 先月の意見聴取会では別室でモニターを使った傍聴となったことに納得できない市民らが会場に直接押しかけ、開始が3時間半以上も遅れました。8日も前回に引き続き、別室のモニターで会議を公開。ただ、特に大きな混乱はありませんでした。

 大飯原発を抱える関電の原発依存度は国内の電力会社で最も高い51%です。ですが、保有する原発11基のうち10基が検査のため稼働を停止しています。残る高浜原発3号機も今月中に停止する予定です。

 「全ての原子力プラントが停止すると需給は一層厳しい状況となる。再稼働が遅れると、この夏の需給も非常に厳しくなると見込まれる」(関西電力 八木誠社長 先月31日)

 関西電力は現在、法人や家庭に対し10%以上の節電の協力を要請しています。ですが、高浜原発3号機が停止し大飯原発が再稼働しないとなると、さらに電力供給がひっ迫するとしています。

 保安院は8日の会議を受け、最終的に「ストレステストは適切に行われた」とする評価を近く取りまとめ、原子力安全委員会に提出することにしています。これで再稼働に向けた技術面での条件が初めて整うことになります。

 「とにかくスケジュールを急いでさっさと進めることが見え見え」
 「再稼働ありきでアリバイ的にやっている」(傍聴した人)

 実際に大飯原発を再稼働するかどうかは野田総理らの政治判断に委ねられることになりますが、その前に地元の理解が欠かせません。大飯原発を抱える地元の声。

 「(Q.ストレステストは再稼働の判断に?)なりません。国から何の説明もメッセージも来ていませんので」(福井・おおい町 時岡忍町長)
 「家族が原発で働いているのもあり、孫が近くに住んでいるのもあって、どちらとも言えない」(住民)

 関電は8日夜、コメントを出しました。

 「各評価について保安院から『妥当』であるという評価をいただいた。近く保安院が正式な審査書を取りまとめられるものと認識しており、今後も真摯に対応して参りたい」(関西電力のコメント)

 現在、全国で稼働している原発は54基中わずか3基。もし再稼働がなければ、春には全ての原発が停止する見通しです。(08日23:20)

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