立ち読み週刊朝日

"婚カツ詐欺"の木嶋佳苗被告 「法廷では薄着と網タイツでヒロインそのもの」


 詐欺や殺人など10件の容疑で起訴された木嶋佳苗被告(37)の公判が1月10日から続いている。裁判を傍聴しているコラムニストの北原みのり氏が、木嶋被告の様子をレポートした。

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 100日に及ぶ裁判は、三つの"殺人事件"を軸に進行している。最初は、2009年8月に埼玉県の月極め駐車場で遺体で発見された大出嘉之さん。次に09年1月に東京都青梅市の自宅で亡くなった寺田隆夫さん、最後に09年5月に自宅の火事で亡くなった千葉県野田市の安藤健三さんだ。

 ふざけているわけじゃないが、被告席に座る佳苗を見ていると、三つの殺人事件の公判をそれぞれシーズン1、2、3とか名付けたくなってくる。例えば、"シーズン1"の大出さん事件が終わり、寺田さん事件に移った頃を境に、佳苗は前髪を切り、服装をパンツからスカートにしている。「これからはシーズン2!」とでもいうような主人公の突然のイメチェンだ。スカート丈はたいてい膝上5センチ。

 節電のせいか足下が冷える法廷で、佳苗は生足かベージュの網タイツで登場する。裁判員を含め、紺や黒の服を着た人が多い法廷で、佳苗の薄着と網タイツは、ヒロインそのものだ。あまりに堂々とした姿に、縄を持つ女性拘置所職員がおつきの人に見えてくるほど。

 連日の裁判でも、佳苗に疲れた様子はない。休廷中には弁護士ににこやかに話しかけ、拘置所職員とは何か言い合っては、腰を折り曲げ歯を見せて笑うこともある。裁判中、話がもたついた時などは退屈するのか、指3本をタラッタラッタラッとファイルの上などでタップする。得意のピアノを弾いているのだろうか。佳苗の頭に流れている曲は、何だろう。

※週刊朝日 2012年2月17日号