ソウル市内のロッテ百貨店本店の婦人服売り場は、最近の厳しい寒さと同様に冷え込んでいた。高級ブランドや毛皮などを見て回った主婦は「気に入った服はあるが、数十万ウォン(数万円)の商品を衝動買いするのは無理だ。最近のように不景気のときには服やかばんの購入を減らしている」と話した。
アウトドア用品を見ていた主婦も「しばらくの間あまりに寒くて買い物に出られなかった。一回りしたが、昨年のものを着ることにした」と語った。昨年までは品切れ状態だった毛皮製品の販売も、今年は前年比で8%減少した。
韓国では今、内需が急速に落ち込んでいる。企画財政部(省に相当)が7日に発表した1月の百貨店売上高は、前年同月比で4.2%減少し、2008年12月(4.5%減)以来最大の落ち込みとなった。百貨店売上高は昨年12月に11.0%増加し、年末商戦は好調だった。しかし、1月は旧正月連休にもかかわらず、力なく減少に転じた。1月の自動車販売台数も前年同月比で19.9%減となり、09年1月(24.1%減)に次ぐ落ち込みとなった。
韓国政府は今年の景気を既に「上低下高(上半期が不振で、下半期に好調)」と予想しているが、予想より早く、消費者が財布のひもを締め始めたことから、緊張の度合いを強めている。企画財政部の金正官(キム・ジョングァン)経済分析課長は「昨年第1四半期に国内の景気が好調だったため、それと比較すると、今年第1四半期の不振は避けられない面もある。欧州財政危機など外部要因が消費心理にどれほどの影響を与えるかがカギだ」と述べた。
■ブランドも値引き販売
ブランド品を値引き販売する百貨店も登場した。現代百貨店はブランド品を最大80%値引きする「海外ブランド大展示会」の開催を決めた。値引き率は在庫処分に匹敵する数字だ。同社は「消費心理が冷え込む中、昨年11月の異常高温で冬物新製品の販売が伸びず、春物の企画展を開催する時期には大寒波が押し寄せ、売り上げが急減した。今回はそれに対応するのが目的だ」と説明した。
新世界百貨店は先月、旧正月連休後から春物の企画展をスタートしたが、売り場は閑散としている。1月25日から2月6日までのファッション衣料の売上高は前年同期比で5%増えたが、前年の伸び率(20%)にははるかに及ばない状況だ。