※引き続き、全労働省労働組合(全労働)の見解「理不尽な『公務員バッシング』に対して反論します」を紹介します。
理不尽な「公務員バッシング」に対して反論します
2012年1月全労働省労働組合
多くのメディアが連日のように「公務員バッシング」を続けています。
日本社会が抱える諸問題は、すべて公務員のせいと言わんばかりの論調も少なくありません。
もとより、多様なメディアが公務や公務員を厳しく監視し、その問題点を広く発信(批判)していくことは、民主主義社会にとって重要な営みです。ですから、行政(公務)の側も情報公開に努めながら、多くの正当な批判を受け止めて、よりよい行政運営に努めるべきです。
しかしながら、昨今の批判の中には、20年前のことを取り上げてまるで昨日のことのように描いたり、統計や制度を意図的にねじまげて解説したりするなど、およそ公正とは言えないものもあります。
このような事態は、多くの国民に行政(公務)に対する「誤解」と「偏見」を植え付け、真に必要な改革方向を見いだすことを困難にするおそれがあります。ついては、メディアが好んで報じる代表的な「公務員バッシング」を取り上げ、事実に即して考え方を明らかにします。
国家公務員の身分保障が「優遇」の代名詞のように使われていますが、ここで言う身分保障とは、国家公務員法第75条及び第78条のことをさしていると思われます。これらの条文を見てみましょう。
【国家公務員法第75条】
職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。
※人事院規則が掲げる事由は「勤務実績が不良なことが明らかなとき」「当該職員の能力評価又は業績評価による場合」等です。
【国家公務員法第78条】
職員が下記の各号の一に該当する場合においては、人事院規則に定めるところにより、その意に反して、これを降任し、免職することができる。
(1)勤務実績がよくない場合
(2)心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
(3)その他その官職に必要な適格性を欠く場合
(4)官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
これらの規定からも明らかなように、民間の労使関係に適用されている「解雇権濫用法理」「整理解雇要件等」を定めたにすぎず、一部で指摘される「公務員はクビにならない」「安定している」などは、全くの誤解なのです。
では、このような規定がわざわざ設けられているのはどうしてでしょうか。この点では、人事の公正を確保することが、公務の民主的かつ能率的な運営を図る上で重要であり、そのために情実人事(不当な圧力)を排除し、成績主義(メリット・システム)の原則を保障するものと位置付けられています。
つまり、身分保障は、公務の公正を担保する上で重要な制度であり、先進諸国が共通して採用する制度なのです。そして、身分保障がきちんと機能してこそ、一党一派に偏ることのない「全体の奉仕者」として公正な職務が行い得るのです。
問題なのは、むしろそれがきちんと機能していないことです。
国は、社会保険庁の解体に伴って525名の国家公務員を分限免職しましたが、これは民間における整理解雇の要件に照らしても違法なものです。政治的思惑で乱暴に首を切られる実態こそ改善しなければなりません。
※全労働省労働組合の見解「理不尽な『公務員バッシング』に対して反論します」を項目ごとに順次紹介しました。今回で終了となります。以下は紹介した見解の全体の項目です。
◆国家公務員は民間労働者より賃金が1.5倍も高い?
◆国家公務員人件費が財政赤字の原因だから賃下げは当然?
◆「復興財源」確保のため公務員がまず身を削るべき?
◆国が赤字だから国家公務員の賃下げやリストラは当たり前?
◆公務員の年金制度は三階建て(職域加算)で優遇されている?
◆民間家賃の半分以下、都心一等地に豪華マンションのような公務員宿舎?
◆公務員は身分保障がありクビにならない?(※今回掲載分)