――素敵なバブルさんですね!
しかし、ある日を境にOさんは突然会社に来なくなってしまったんです。1週間後には新しい上司が赴任してきて、何事もなく日々の業務に戻っていきました。ただ、Oさんが去った2週間後に、社内の噂でOさんが自己破産したことを知りました。
――別に破産をしたからって会社を辞めなくても良いでしょう。
おそらく居づらくなったのでしょう。Oさんはごくまれに部下を誘ってホームパーティを開いてくれたんです。Oさんの自宅は横浜の海が見える立派な一軒家で、家財道具も見るからに高級そうでした。Oさん自身はそれほど家具に興味なさそうだったんで、奥さんの趣味でしょうか。当時は、「生まれつきお金持ちの家の人なんだろう」、なんて能天気に思っていたのですが、今思えば借金をして買っていたのかもしれません。
――余計な話かもしれませんが、Oさんのだいたいの給与はご存知ですか?
これは推測ですが、大きな部署の統括もしていた方ですから、手取りでも月に60万円はあったのではないでしょうか。あと、奥さんは内職をされていたようですが。
――月に手取りで60万円ということは、額面にボーナスも加えたら年収1000万円は超えてそうですね。
そんな人が借金地獄で苦しんでいたんですよね。僕はOさんには幾度となく食事をごちそうになっていたので、なんだか後味が悪い別れでした。
浪費癖のあったバブルさんに
とどめを刺した「FX」と「減給」
――しかし家具にお金をかけても、年収が1000万円もあれば普通は破産しないですよね。他に原因があったんじゃないですか?
推測の域を出ませんが、今から4年ぐらい前にFXのブームが起きたとき、かなりの大金を使って損をしたのではないか、と。「儲かってるよ、FX」と喜んでいたのに、ある時期から急にFXの話をしなくなったんですよね。どこかで大損をしたのではないかと勘ぐっています。加えて、リーマンショックの頃、一時期弊社の業績が明らかに下がって、給料の見直しがあったんです。残業代の一部がカットされ、実質の給料ダウンでした。ボーナスも大幅に削減されました。