今日の個人レッスンは濃茶の杉棚で貴人清次。
もちろん生徒さんは今日が初めて、今まで通りの稽古方法で、私が一回やって見せる。
他に誰もいないのである。
よく見て、私のお点前を会得してくれる。
子供の時にやっていたのかと、可笑しなことを尋ねてしまう。
先生が初めてという答え。
なんと、私もここまで割り稽古から一緒にお稽古してきたんだと思い出した。
すっかり、忘れていた。
半年が経つという!
個人レッスンを毎週半年、彼女は一度も休んだことがない。
私も頑張った!
一人でも朝来て掃除をして、お湯を沸かし、お抹茶の準備とお道具。
習う生徒さんも偉いなと思う。
社会人ではない、学生さんである。
この半年は、私の人生でも一番激動の日々。
教室の移転、新教室でのお稽古、秋にダブルの引継ぎ、内弟子問題と最後に大きな税金がどんと来た。
私の健康はパニックになったが、茶の湯のお蔭で立ち直る。
何と言っても、生徒さんとお稽古しあう個人レッスンが良いようだ。
半年の危機を乗り越えられたのは、このレッスンのお蔭。
教えながら、助けてもらっていたようである。
これが、本来の茶の湯なのだと、思う。
普通なら、個人レッスンは薄茶で終わる。
でも、私は許されるものなら、亡き師と同じレッスンの仕方でもうしばらく続けようと思う。
半年で、貴人清次の濃茶考えられないが、それも炉である。
この分だと来年は奥伝に入ってしまう。
頑張っているのだから、それでも良いと思う。
私は、熱心な人にはすべてを投げ出して教えよう。
無心に教えていれば、無心にお茶は立つ。
だが、まだまだ私も雑念が消えない、60代困ったものである。