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事件
【海底トンネル事故】壁面の厚みが足りず崩壊か 専門家指摘
2012.2.9 02:28
海底トンネルの掘削で用いられた「シールド工法」は軟弱な地盤でも安全性が高く、日本の技術は世界で最高水準といわれる。一般的にトンネル壁面の崩落は考えられないとされるが、設計段階のデータを入手した専門家は「壁面の厚みが通常より薄い」と指摘、圧力に耐えられず崩落した可能性もあるとしている。
同工法は大型掘削機「シールドマシン」で穴を掘り進めると同時に、進んだ分だけトンネルの壁面に「セグメント」と呼ばれる円弧状のブロックを組み立てて強度を保つ。掘削した土砂は、掘削機の排土口からベルトコンベヤーで外に搬出される=図。
シールド工事に詳しい早稲田大学の小泉淳教授(建設工学)によると、セグメントは通常、トンネルの直径に対し5~7%の厚みを持たせて、周囲の圧力からトンネルを守る。だが、このトンネルの設計段階の資料では、直径約4・8メートルに対し、セグメントの厚さは約16センチで、約3・3%しかなかったという。
また、小泉教授は、事故の状況から1分間に小学校のプール1杯分の海水が流れ込んだと試算。直径約60センチの掘削機の排土口からこれほどの海水が流入することはなく、「セグメントが圧力に耐えられず、トンネル自体が崩れた可能性は否定できない」と指摘する。
一方、海底のくぼみの位置から、トンネル先端の掘削現場から海水が流入したとも見方もある。
海洋土木会社の関係者は「一般的にはセグメントの強度からトンネルの崩落は考えにくい。掘削機の故障など何らかの理由で先端側から海水と土砂が一気にトンネルに流れ込み、くぼみができたのではないか」と話す。
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