本来は14話で使いたかった話なのですが、金曜集会の所でキリが良かったため切らせていただきました。
諦めることができず、短いですが14.5話という形で掲載することに……
ではどうぞ!
剣正と別れた優は宇佐美代行センターに仕事の報告書を書きに着ていた。剣正と会う前に一度来たのだが顔を見せに行った程度だったので、まだ仕事が残っていたのだ。
事務所には誰も居ず鍵が掛かっていたのだが、優は代行センターの従業員全員に配られているキーを使い中へと入った。先ほどまで誰かいたのか、事務所内にはクーラーの冷気が残っており、ここまで歩いてきた優は心地良く感じた。
優はグラスに紅茶を注ぎ綺麗に整頓されている自分のデスクへと向うと、紙を数十枚も取り出し一枚一枚に記載漏れや誤字脱字がないかをチェックし始める。
紅茶を飲みながらも作業する速度は中々のもので次々に修正箇所を見つけ、書き足しや書き直しをしていく。作業中の優は剣正と会っていた時の表情とは打って変わり真面目なものだった。
30分もすると粗方の作業は終わり、あとは書き終えた報告書を専用のファイルに挟むだけとなり、重要な資料などが補完されている棚から未使用のファイルを取り纏めた物を挟んだ。最後の仕上げにファイルの帯に簡単な概要を書くと元あった棚に収納し一息吐くことになった。
「帰ってきても仕事って悲しいわね」
キャスター付きのイスの背に両腕を上に伸ばしながら体を預けるとギィと音が上がる。
伸びを終えた優は「うーん」と声を漏らすとヘタっと前のめりに机へとへたり込んだ。
優の脳裏には先ほどまで会っていた剣正の言葉が再生されていた。
「"友達"か……あの剣ちゃんがねぇ」
初めて出会った時から、優は剣正の口から友達という言葉を聞いたことがなかった。学校での様子を代行センターの代表であり川神学園教師でもある宇佐美巨人に尋ねると、話す相手はいるみたいだが、友達と呼べる存在は少なそうだとの答えが返ってきたりした。
いつのことかは忘れたが優は剣正に尋ねたことがあった。
――ねぇ剣ちゃんって友達作らないの?
普段は何か答える剣正だったが、「ハハッ」っと苦笑いを浮かべただけで、明確な答えは返ってこなかった。その時の剣正の表情を優は今でもハッキリと覚えている。
その後、優は剣正が特定の友達を作らない理由を宇佐美から聞いた。だからこそ剣正から「男"友達"だよ」という言葉を聞いた時、優は涙を流しそうになった。
「本当によかったね」
起き上がった優は机の上にある写真立てを手に撮ると、一緒に写っている写真を撮られることに慣れていないのか微妙な表情を浮かべている剣正を見て微笑んだ。
ここで一つ裏話を。
実は優の登場はもう少し先だったのですが、例の金曜集会をどうしようかと考えた時「あ、優出して剣正を足止めすればいいじゃん」という短絡的な考えが浮かびましたw
原作キャラが言いたいことは全部言っていたし、個人的には原作キャラのセリフを取りたくないということで、剣正に出番なんてなかったのですw
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