世界各国の標準時と、地球の自転に合った時刻の僅かなずれを埋めるため、1日を1秒だけ長くする「うるう秒」の調整が、ことし7月、3年半ぶりに実施されることになりました。
「うるう秒」は、地球の自転にかかる時間が24時間より僅かに長いことから生じる「ずれ」を調整するために行われるもので、世界で一斉に実施されます。
今回の調整は、ことしの7月1日に行われることになり、日本では午前8時59分59秒のあとに、本来はない午前8時59分60秒という時刻が1秒加えられます。
「うるう秒」の調整が行われるのは、ちょうど40年前に制度が設けられてから今回が25回目で、前回は平成21年の1月1日に行われています。
「うるう秒」により、一般の時計は1秒遅らせる操作が必要になりますが、標準時の電波を受信して時刻を合わせる「電波時計」は、自動的に時刻が調整されます。
「うるう秒」を巡っては、先月、スイスで開かれた国際電気通信連合の総会で、コンピューターの誤作動を招くなどとして、廃止に向けた議論も進められましたが、太陽の動きと時刻がずれるとして反対意見も強く、今回は従来どおり実施されることになりました。
日本標準時を管轄する独立行政法人情報通信研究機構の今村國康研究マネージャーは「今回の『うるう秒』は15年ぶりに7月に実施される。元日に比べ、営業している企業も多いと思われるので、電子商取引などを利用している企業は時刻のずれに注意してほしい」と話しています。
「うるう秒」は、今から40年前の昭和47年に世界で取り入れられた標準時刻の調整方法で、これまでに24回、実施されています。
最近では3年前の平成21年1月1日に行われました。
近年は、コンピューターの普及が進むなか、通常にはない1秒を挿入することでシステムに誤作動が起き、電子商取引などに支障をきたすおそれがあるなどとして、廃止に向けた議論も高まっています。
先月、スイスのジュネーブで開かれたITU=国際電気通信連合の総会では、日本やアメリカなどが廃止を支持しましたが、グリニッジ天文台があるイギリスや中国などが反対したため、結論はまとまらず、ことし7月1日の「うるう秒」はこれまでどおり実施されることになりました。
一方で、「うるう秒」が廃止されれば、太陽の動きとは時刻がずれていくことになります。
ずれは、50年間で30秒ほどに広がり、いずれ北半球では、正午なのに太陽が南の方角になかったり、時刻が深夜なのに外は明るい、などといったことが起きかねず、今後の議論の行方に注目が集まっています。
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