2012年02月05日 (日)

変化が求められるCall of Dutyフランチャイズ

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Call of Duty 4: Modern Warfareの爆発的ヒットにより、一躍トップ・ブランドへと躍り出たCall of Dutyフランチャイズ。その後1年おきに新作を出すという戦略によって商業的な大成功を収め続けた一方で、ファンの間からは新作の乱発と変化のない内容が批判の的になってきました。そんなCall of Dutyフランチャイズが取るべき道とは?IGNによるコラムを。

Call of Duty 4: Modern Warfareのキャンペーンは大迫力かつ印象的で、非常にテンポが速かった。そのオンライン・マルチプレーは、Haloシリーズの専売特許だった斬新さを成し遂げている。Modern Warfareは我々の1人称シューターに対する期待を変貌させ、結果として史上最も成功を収めたエンターテイメント作品になった。

今年でCall of Duty 4の発売から5周年になるが、その後発売された4作品はほぼ同じ土台を継承。Black Ops 2の噂も浮上する今、そろそろ食傷気味になりつつある。Call of Dutyブランドは、プレーヤーもパブリッシャーも自己満足で完結してしまっている兆候が見え始めていて、プレーヤーたちは前回と殆ど同じ体験に無条件で金を差し出している。まるでActivisionはゲーム業界の麻薬売人で、我々は無抵抗のジャンキーのようだ。

そろそろCall of Dutyは変わるべきだ。Activisionが本腰を入れようと入れまいと大金を生み続ける、という事実は無視しよう。いい加減重い腰を上げ、高い野心を持ってシリーズに活気を取り戻さないと、ゲーム史上最高のシリーズの一つが地に堕ちてしまう。腐ってもシングル/マルチプレーのあり方を変えたフランチャイズなのだ。その行く手を阻んでいるのはCall of Duty自身。実現するために変わらなければいけないのは以下の通りだ。

スクリプト・イベントの廃止

飛行機の墜落、QTEの白兵戦、大迫力の爆発。こうしたド派手なシーンこそ、Call of Duty体験の柱となっている。それも今ではすっかりお約束に。先の読めるイベントにはウンザリなのだ。チャプターの最後には必ずビルから落ちたり、接近戦で敵を倒したり、顔面を撃ち抜かれるだろうと、誰もが分かっている。こうした迫力のある場面のためにプレーする者もいるが、限定されたゲームプレーに嫌気が差している者もいるのだ。Call of Dutyはもうスクリプト演出をメインにする必要はないだろう。Infinity WardとTreyarchは、そろそろ「映画的体験」から離れ、ゲーマーを馬鹿扱いするのは止めるべきだ。ギリギリのところで自力で死を免れるのと、作り手がギリギリのところで助けてくれるのとでは、前者の方がはるかにエキサイティングであり、後者にはもう飽き飽きしている。両者の違いをプレーヤーは理解している。こういった場面はもう十分に見たのだから、15分おきに危機一髪が訪れるのはもう止めにすべきだろう。

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的を絞る = 一貫性 = 感情移入

登場人物があまりに多すぎるため、Call of Dutyの物語は実に理解しがたい。たまには、一人のキャラクターに焦点を絞ってみたらどうだろうか?頻繁に操作キャラクターを変えるのではなく、一人のキャラクターの視点に固定した方が、より感情移入できるというものだ。PriceとSoapのことは好きだが、キャラクターとしての掘り下げがなされていないため、どんな人間なのかが全く分からない。どんな人間か分からないのだから、渋いヒゲを生やした謎の男がすぐ横で死の淵をさ迷おうとも、馬鹿みたいなスキー・マスクを被った男が顔面に銃弾を食らおうとも、感情は揺さぶられない。感情移入できないキャラクターに何が起きようと、どうでもいいのだ。

戦争の歯車ではない人間としての彼らに焦点を当て、我々が感情移入できる首尾一貫したキャラクター主導の物語を語るべきだ。そうすれば、悪党が銃口を突きつけてきた時、真の危機を感じることが出来る。だが現状のCall of Dutyのキャラクターたちは、善玉、悪玉、そしてNo Russianにおける無実の一般市民に至るまで、その後の物語に何ももたらさない、ただのプロット・デバイスに過ぎない。

Call of Duty次回作が人間を描くものになれば、プレーヤーにも心の拠り所ができるし、ニューヨークに核を落とそうとしている邪悪な外国人を虐殺するよりも意味のあるプレー理由が生まれるはずだ。

バイオレンスの安売りを止める

バイオレンスの現実を知るために、誰かの喉を掻っ切る必要はあるか?恐らくないだろう。

Call of Dutyには、意味のある殺しがちょうど2回存在する。ナイフを目玉に向かって投げる行為が多くのプレーヤーの共感を呼んだのは、それが気分爽快のスローモーション以上の、異常者がこれ以上悪行を重ねるのを止めるという意味を持っていたからだ。Call of Duty 4の最後の殺しも同じような効果を持っていた。Zakhaevは最悪の悪党であり、プレーヤーは正義の鉄槌を下したのだ。それ以外のシーンには、何の感情も抱くことはない。

空港で一般市民を虐殺したり、少女を吹き飛ばしたり、ニューヨークをテロリストが占拠したりといったシーンは、開発者たちが意図したような心動かされるようなシーンにはなりえていない。これらは、事の重大さを考えさせるのではなく、プレーヤーを不快にさせるだけの感情をもてあそぶゴミに過ぎない。確かに身の毛もよだつような光景ではあるが、中身がないのだ。Call of Dutyキャンペーンの不感症的バイオレンスが蝕んだ、何の感動も意味もないショック・シーンに過ぎない。

Call of Dutyは、自分に対する暴力だけを気にするよう我々を調教してきた。一瞬で敵の命を奪うスリルは命の意味も奪い去り、プレーヤーに対する暴力だけに意味があるということを暗示している。プレーヤーの死の重要性も軽く、失敗は更なる命を奪う次の機会に過ぎない。

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これからは、プレーヤーの心に潜む殺人願望に迎合したり、Call of Dutyのエンターテイメントとしての価値を傷つけることなく、我々に暴力というものを考えさせる新たな方法を見つける必要がある。だからといって、放たれる銃弾一発一発の波状効果を映し出すべき、と言っているわけではない。これはPeter Molyneux氏の夢物語ではなく、あくまでインタラクティブ・アクション映画なのだから。しかし、画面上の卑劣漢と同じように振舞うのは止めるべき時期に来ている。人間の喉にナイフを突き立てた時、我々は興奮ではなく居心地の悪さを感じるべきなのだ。Call of Dutyキャンペーンで何千というテロリストを殺してきた理由を振り返った時、そこに「奴らは悪者だから」という以上の理由を見出せる者は殆どいないはずだ。

現実世界の心を扱ったゲームがあったら、より興味深いのではないだろうか?引き金を引くかどうかによって、特定の死の意味が変化するCall of Dutyを想像してみて欲しい。主人公にどんな精神的影響をもたらすだろうか?誰かを殺さなかった場合、どんな被害が待ち受けているのか?もしSpec-Ops: The LineやRainbow Six: Patriotsが実現できなかったら、Call of Dutyはミリタリー・シュータとして史上初めて、我々が楽しんでいるアクションの真の意味を考えさせるゲームになるかもしれないのだ。

マルチプレーの刷新

かなりの割合のファンがCall of Dutyをプレーする真の理由は、奥が深く素晴らしいマルチプレーだ。Call of Duty 4 を初めてプレーした時の事を覚えているかな?文字通り何百万というプレーヤーが、未だに魔法にかかったままだ。では、なぜ変化が必要なのだろうか?

Call of Dutyのオンラインは新作をのたびに色々な要素を追加したり、削除したりしてきた。だが作品ごとの違いは、コアなファンにとっては僅か過ぎるし、カジュアルなファンにとっては殆ど気付かないレベルに留まっている。率直に言うと、マルチプレー体験は前回の大統領選挙の頃から全く変わっておらず、せいぜい新しいPerkやキルストリークが加わった程度だ。Modern Warfare 3には、幾つものスタジオが開発に関わっている。業界でも最高峰レベルの開発者たちが集結した最強集団が、毎年全く同じゲームを作っているのだ。他社が追いつき始めた現在、Call of Dutyはオンラインのランドスケープを再び作り変えることで、その真価を見せ付けるべきだ。確かに法外で無茶な要求かもしれないが、ここは理想を語るファンタジー世界だ。

Call of Duty Eliteが定期的に新マップを提供してくれる現在、似たようなマルチプレーのModern Warfare 4やBlack Ops 2をリリースする必要は全くない。増え続ける改善点や新マップが毎年の問題になるというなら、Eliteとアップデートがその答えだ。今後の労力は新機軸の開発に注げば良い。我々がなぜ恋に落ちたのか、思い出させて欲しい。そうすれば、なぜ恋が冷めたのかなど忘れてしまうのだから。

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時代の波に乗る

2007年はもう随分前だ。このインターネット時代、5年前というのはもはや冷戦時代。それほど昔の事なのだ。時代は大きく変わったが、Call of Dutyはそ知らぬ顔。Bulletstorm、Battlefield、BioShockといったゲームは、非常に興味深い新たなアイディアで実験を試みてきたし、既存のコンセプトを拡張してプレーヤーに斬新な(少なくとも斬新っぽく見える)体験を提供してきた。Call of Dutyは多くのゲームに影響を与えたが、今では遅れを取っている。進化を続けるジャンルから置いて行かれない為には、自らの殻を破るしかないのだ。

マルチプレーへの乗り物の導入、協力プレー可能なキャンペーンといったシンプルな変化だけでも、シリーズを大きく進化させるだろう。Modern Warfares 2と3でInfinity Wardの才能が最も光り輝いていたのは、Spec-Opsマルチプレー・モードだったのだから、同様のユニークなチーム制ミッションをよりスケールアップさせたようなものにリソースを注ぎ込んでみたらどうか?

クレージーになるのも良い。シリーズは既に行くところまで行ってしまったのだから、もはやリアリズムは問題ではないだろう。乗り物、クライミング、スライディングなどを加えても良いし、拠点を建設させてくれるのも良い。Nazi Zombiesの中毒性は、ただゾンビの脳みそを吹き飛ばすのではなく、リソース管理が求められるからだ。いつも通りのCall of Dutyスタイルでプレーしたら蜂の巣にされてしまうような、戦術的なチーム制のゲームも良いかもしれない。地形や建造物の破壊、探索要素、パラシュート降下による急襲などの追加の他、物を吹き飛ばす以上の目標をシングルとマルチプレーの両方に与えて欲しい。それから、スポーン・システムもいい加減修正して欲しい。未だに炎やクレイモア、グレネードの真っ只中にスポーンするなんて、開発チームの嫌がらせとしか思えないだろう?

[ソース: IGN]

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