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アイヌ民族党:萱野志朗代表に聞く 国に生活支援訴え 道外在住者と全国組織を /北海道

 アイヌの権利回復を目指す政治団体「アイヌ民族党」が発足し、アイヌ民族で初めて国会議員(参院議員)を務めた故萱野茂氏の次男、志朗氏(53)が代表に就任した。結党の意図や今後の方針などを聞いた。(4面に「ひと」)

 --なぜ結党したのか。

 07年に国連総会で採択された「先住民族の権利宣言」ではさまざまな先住民の権利がうたわれている。日本は宣言に賛成したにもかかわらず、先住民の権利が回復していない。土地や埋蔵資源に関する権利、アイヌ語を使って教育を受ける権利など、国連宣言に盛り込まれた先住民の権利が回復するよう働きかけたい。

 --国のアイヌ政策の問題点は。

 現状は民芸品やチセ(家)など文化、風俗を維持するための支援しかない。道内アイヌの大学進学率は道民に比べて低く、道は奨学金制度を行っている。しかし、道外のアイヌはこの制度は使えない。都道府県単位の支援策ではなく、国がアイヌの生活を支える政策を実施すべきだ。

 --今後の活動の方針は。

 13年参院選で議席を確保したい。道内在住のアイヌは06年度の道の調査で2万3782人。全ての票を集めても当選できないのは明らかだ。アイヌだけではなく、「大和民族」にも党員になってもらい、各都市での支持を広げていきたい。参院選後は札幌市議選や道議選にも候補者を擁立していく。

 --北海道アイヌ協会との関係は。

 協会は道内の組織で、全国のアイヌを代表した立場ではない。道外にもアイヌは多く住んでおり、将来的にはアイヌの全国組織が必要だ。

 --脱原発を掲げているが。

 人間が何でもできるというのはおごりだ。アイヌは森羅万象全てのものに神が宿ると考えており、自然への感謝や謙虚さを持っている。今の日本にはこの気持ちが欠けていると思う。【聞き手・片平知宏】

毎日新聞 2012年2月3日 地方版

 

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