韓国国民年金、このままでは赤字懸念も

 若い世代ほど収益比率が低下するのは、20年間で2度の年金改革を実施したためだ。1999年には受け取り額を所得の60%に引き下げ、2008年には28年までに段階的に所得の40%まで引き下げることを決めた。

 だが、08年の年金改革で安心することはできない。60年に年金基金が底を突けば、収支を合わせるため、同年に保険料率を21%に引き上げる必要が出てくる。保険料率を現在(9%)の2倍以上に引き上げる格好だ。このため、保険料率を最低でも13%ほどに上げざるを得ない、と専門家らは指摘している。韓国保健社会研究院のユン・ソクミョン研究委員は「徹底的に年金制度を改革しなければ、韓国もすぐに日本のように年金がまひしてしまう」と指摘。保険料の値上げを急ぐべきだとしながらも、国民の同意を得られるよう、段階的な引き上げが必要だと助言した。

■年金財政の足を引っ張る少子高齢化

 少子高齢化により、年金の受給者は増え、保険料を納める若い世代は減っていることから、年金財政は今後さらに悪化する懸念もある。10年から30年までの20年間で、65歳以上の高齢者は723万人増える一方、保険料を納める25-64歳の人口は90万6000人減少すると見込まれ、年金の収支バランスが崩れることは避けられない。現在は高齢者1人を現役世代6.6人で支えているが、50年には1.4人で支えることになり、保険料の負担は増加する。

 難題はほかにもある。高齢化による景気低迷で保険料を納められない自営業者が増えたり、非正規労働者や日雇い労働者が増えたりすれば、国の年金収入はますます減少する。選挙を意識して政治家が年金改革を先延ばしにすれば、いずれ自らの首を絞めることになりかねない。

金東燮(キム・ドンソプ)保健福祉専門記者
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