【メキシコ市・國枝すみれ】南大西洋のフォークランド(アルゼンチン名・マルビナス)諸島の領有権を巡る英国とアルゼンチンによるフォークランド紛争から30年になるのを前にした今、両国間で再び緊張が高まっている。
英国のウィリアム王子が2日、空軍パイロットとしてフォークランド諸島に着任したことにアルゼンチン政府が「王子は征服者の軍服で来た」と猛反発。首都ブエノスアイレスの英国大使館前では2日、抗議デモが行われた。
フォークランド諸島はアルゼンチン沖480キロに位置する。1982年4月に始まった紛争は、アルゼンチン軍約650人、英軍約250人の死者を出し、英国の勝利で終わった。
両国は90年に国交を回復したが、2010年に英企業がフォークランド諸島沖で油田開発を始めたことをきっかけに再び関係が悪化。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は10年3月、「マルビナス諸島を取り返すため、政治、文化、外交などあらゆる手法で戦う」と宣言。11年末には、英国旗ユニオンジャックのデザインを含むフォークランド諸島の旗を掲げる船舶の入港を禁止した。
一方、キャメロン英首相は今年1月、島民約3000人の多くが英領所属を望んでいるのに、諸島を奪おうとするアルゼンチンこそ「植民地主義」と反撃し、新型駆逐艦の派遣を決めている。
王子は今後6週間、救出訓練などの任務に当たる。
毎日新聞 2012年2月3日 18時44分(最終更新 2月4日 0時45分)