「愛国ビジネス」に狂奔しては詐欺まがいの募金活動を行ない、韓国ゲーム会社や朝日新聞といった反日企業との取り引き、インチキ臭い保守運動を展開するSNS『my日本』(その実態や『株式会社my日本』で代表・西田省人)を追及してきたが、当ブログでは護国・愛国を標榜しつつも、元会員を含め方々でその見識が疑われている他の団体についても追及していく。
石川県護国神社 自殺した若者へのレクイエム
日本人に犠牲を強いる戦前礼賛・回帰志向の保守思想を断罪!
平成23年12月8日、石川県護国神社の境内にて金沢大学4年生(当時)の青年・杉田智(さとし)氏が刃物で腹部や首を切るなどして自殺しているのが発見された。遺体の近くにはビニールに包まれた日の丸が置かれていたという。
亡くなった杉田氏は平成元年生まれで享年22歳。北海道出身。生前、大学では人間社会学域法学類で学び、学内のゼミでは日本の安全保障問題について熱弁を奮っていたという。
このニュースはインターネット上では広く拡散され、保守・右派を中心に「愛国青年の殉死」「憂国の割腹自決」「杉田烈士」などと持て囃され、絶賛された。
杉田氏が自殺した石川県護国神社には故・清水澄(とおる)の顕彰碑が建てられている。
清水澄とは戦前日本の憲法・行政法学者で天皇陛下の諮問機関である「枢密院」議長を務めていた。敗戦後、日本国憲法が施行された昭和22年の9月25日、日本の国体の危機を憂いて熱海の海岸から投身自殺を遂げたものだが、この清水澄博士顕彰碑の前で杉田氏は自身に刃を立てた。大東亜戦争の開戦記念日のことである。
日本国憲法の無効と、戦前の大日本帝国憲法の復活を訴えて老い先短い者が自殺するのは勝手だが、杉田氏のような無名の若者が敢えて命を散らす必要もない。バカな保守・右派は拍手喝采しているのかも知れないが、世間には何の影響も与えないし誰も感化されない、世の中が変わるわけでもない。
まるでカルト宗教団体まがいの自殺行為だが、生きてこそ戦わなければならないのではないか。見聞きする限りでは杉田氏を清水澄や三島由紀夫(自衛隊市ヶ谷駐屯地でクーデターを呼びかけて割腹自決)、あるいは戦中の特攻隊に擬えて賞賛する向きもあるが、こんな愚かな保守・右派の風潮こそが前途ある有為な若者を無駄死にに追いやったのではないか?
ある種、保守思想の「犠牲者」とも言える杉田氏に続く新たな犠牲者を出さないためにも、やたら現行憲法の無効と護国・殉国を説く然る関西方面の団体を取り上げてみたい。
☆これ以上、一人たりとも無駄に死なせるな!
京都府には『國體護持塾(こくたいごじじゅく)』(塾長・南出喜久治、代表・平野ゆかり)なる団体がある。京都選挙管理委員会に政治団体設立届けも出されている政治団体だ。
現行憲法の無効を主張し、彼らが「正当憲法」と主張する大日本国憲法の復元を訴える、言わば「戦前マンセー」で明治以降の日本を礼賛する戦前回帰派である。
同塾の講演会に参加したことがきっかけで運営などを手伝うようになったという兵庫県在住のA子さんが所要で上京した際、インタビューに応じてくれた。
「既に國體護持塾との関係は断ち切っていますが、退会する際には掌を返したように誰もが冷淡な態度でした。当然と言えば当然かも知れませんが、塾生の管理を行なっていた溝口佐知子女史に用件を伝えようにも取り合ってさえくれず…。
國體護持塾は表面に出ている代表や幹部とは違い、裏方で運営に携わっているこの溝口さんが実質的に取り仕切っています。
溝口さんのご主人は既に病死されていますが、生前、この方が『幸福の科学』に傾倒していて、その影響でしょうか、國體護持塾が別に運営する『うけひのもり』では1万人の会員獲得が目標だ、というようなことを盛んに言っていました」
ここで『うけひのもり』なる日本の各家庭における理想的な生活モデルの実践・指導・普及を推進する教育機関についても言及しなければなるまい。
京都府京都市を事務局とするサイトで、中には『うけぴぃ』なるミクシィに似たSNSも運営している。
同じ住所では『まほらまと研究所』という研究所もあって月刊誌(※画像参照)を発行。また、『まほらまと草紙』なるネット書店も運営しているようだ。
そのいずれもで国体護持に関するプロパガンダが行なわれており、理論的指導者と思しき塾長・南出喜久治(※写真下)の国体護持に関わる著書が紹介されている。
写真:09年9月17日、東京地裁にて
南出喜久治とは右派の弁護士として知られ、体罰で知られる戸塚ヨットスクール校長・戸塚宏の訴訟代理人も務めた。保守理論の権威・渡部昇一とも対談を行なっている。
前出のA子さんが述べる。
「言ってみれば國體護持塾は憲法問題を訴えて政界への進出も目指す政党団体で、うけひのもりは教育や食糧問題を軸に塾の支持者を集めることを目的としているようでした。
南出総理を実現するとか、日本の自立再生社会を実現した『まほらまと』という国体を実現するのが理想とかで、各地の護国神社への参拝ツアーを組むためにも、自分の知人・友人など、やたらと人集めを奨励されました」
こうした証言は以前、関東圏在住の別の元塾生が話していた内容と符合する。
「日本のためになれば…という思いで参加した関西方面の団体なのですが、教育勅語を丸暗記するように命じられ、ひたすらネズミ講の如く新規会員を集めることだけを指示・強制されました。真面目な人ほどすぐ騙されてしまいます。著名な保守系弁護士や国会議員も関わったりしていますが、彼らも含め、今では私から見て全てクロですね」(※当ブログ過去エントリーより)
旧かなづかいに拘ったもので、うけひとは現代風に書くとうけい(誓い)を意味するもので、まほらまととは「国からの道」を意味するらしい。近代日本が始まった戦前への全面回帰を主唱しているかと思えば、こういう古代的なものまで出てくるので訳が分かり難い。
月刊誌うけひのもりには熊本県護国神社に正式参拝したツアー報告や「南出先生と石川県護国神社参拝と公開セミナー」の呼びかけが掲載されている(※画像参照)。
「塾への正式入会の手続きを取る際、会費こそ月1万円ですが入会金が10万円という高額でさすがに躊躇いました。そこでも入会の是非は『即答でなければダメだ』と迫られました。
続いて指し示されたのが『国の為に命を賭けられるか』という大仰な訓示です。勉強会でも奨励されていたのは清水先生の後に続け…という趣旨です。そんなことを繰り返し洗脳するように聞かされたら、中には昨年12月に石川県護国神社で自殺した大学生のような若者が出てきかねませんよね」(A子さん)
明治以降の近代日本の体制は朝鮮半島のために有為な若者の生命を幾多も失わせ、朝鮮半島や台湾、支那大陸に多くの資金・資材を流出して日本国に損失を与え続け、その集大成が大東亜戦争による膨大な犠牲であった。今現在も年間10万人以上の自殺者を出す形で近代体制が日本人を犠牲にし続けている。
その内の一人が杉田氏であり、戦前に回帰するということは保守思想が杉田氏を無駄死にさせた如く、日本人にさらなる犠牲を強いる体制が続くことを意味する。断じて日本人に必要なのは近代体制ひいては保守主義からの脱却だ。
:写真説明
家族・家庭の在り方を説く月刊誌うけひのもりで、両親やご先祖、ご皇室に感謝することの重要性を説くのは結構としても登場するご家族は国際結婚のご家庭?
どこの誰と誰がくっ付くのも勝手だとしても、移民の受け入れまで議論されている最中にあって国体護持を説く団体が国際結婚カップルとハーフの子供をご紹介するのは如何なものか?
かつて護国神社の参拝ツアーに参加した元塾生は「公私共に行動されている南出(喜久治)さんの奥さんは韓国の方だったんです」と話す。
月刊誌うけひのもりでも、やたら「人類融和」とか「世界中の誰もが仕合せ(幸せ)になれる本当の幸福論・真実の世界平和論『まほらまと』」…と謳われているのはそうした背景からなのか?
また、関係は無いのかも知れないが、『在特会(在日特権を許さない市民の会)』が京都朝鮮学校への抗議行動で刑事事件になった際、逮捕された在特会幹部の知人は南出喜久治のところへ弁護を依頼したが、南出サイドはこれを断っている。
なお、元塾生は「國體護持塾を実質的に取り仕切る溝口さんは在特会には批判的」で、然る塾生が在特会デモに参加している様子がインターネット動画に流れたのを見て、当該の塾生を「激しく叱責する光景を目撃した」という。