NHKの面接は「いままでの君も評価するけど、これからの君をしっかり評価するよ」という姿勢で、そこにたっぷりと時間を割いてくれた。他の企業ではない面接でしたね。
確かに、私の内面を見てもらえているな、自分のいいところを引き出してもらえているな、という感じがしました。なかには、面接官から「今日は君のステキなところを探しにきました」と言われた人もいて、こんな面接は初めてだとびっくりしていましたね(笑)。
落ちた人の話を聞くと、「NHKのこんなところが素晴らしいです」と褒めただけの人が多かったみたいです。自分はNHKを客観的に見て、守るべき伝統は大切にすべきだけど、変えていかなきゃいけないこともある、という話をして…ちょっと生意気なんじゃないかと思われても、いいや、裸でいこう、という姿勢が良かったのかも。
学生の意見に対しても、きちんと考えた上で返してくれましたよね。いろいろと放送局を受けたのですが、テレビ局で5.1チャンネルサラウンド放送をやってみたいという私の話をきちんと聞いてくれたのはNHKだけでした。本当に親戚のおじさんと話している感じで(笑)、ありのままの自分を出せて、まあこれで落ちたら悔いはないなと。
面接で知り合った人たちは、みんなすごい経験を持っている人ばかりで…ある分野で日本一だとか、最年少の記録を持っているとか。NHKを受けるのなら、これくらいのレベルじゃないと通用しないのかな、とも思いましたが、どうしても諦められなかった。最終面接で「ではこれで終わり」と言われてからも「もう少し話を聞いてください!」と食い下がって、半分涙ながらに訴えてましたね(笑)。
選考が進むと厳しかった場面もありました。アナウンサーとして模擬リポートする課題があったのですが、テーマが「震災の被災地からのリポート」。アナウンサーとしてのスキルはまったくダメだったと思いますが、自分が考えた言葉で何とか必死に伝えて…その点は評価してもらったんじゃないかと思っています。
私の場合、面接官も記者の方々でしたが、こちらがどんどん気持ちよく話してしまうような心地いい聞き方をしてくれて「さすがだな」と思いましたね。まあ、ときどき「君、ジャーナリズムどう思う?」とか、鋭い質問が飛んできましたが…でも「ちょっと考えたいのですが」と言うと、きちんと時間をいただけました。「NHKの記者」というと厳しそうな人ばかりかと思っていたら、稲本くんも言っていたように、親戚と話しているようでしたね(笑)。