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TPP事前協議:「全品目で交渉」 政府、米に表明

TPP交渉の流れ
TPP交渉の流れ

 【ワシントン平地修】日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加を巡る日米両政府の1回目の事前協議が7日、米通商代表部(USTR)で開かれた。米側は、自動車や保険、農産品分野で日本に市場開放を求める各業界の意見を提示。日本側は「(特別扱いが必要な)センシティブ品目に配慮しつつ、すべての品目を自由化交渉の対象にする」との政府の基本方針を示し、交渉参加の合意に向け協議を進めることを確認した。

 外務省や農水省など関係省庁の局長らによる日本の協議団は7日午後2時過ぎから、USTRのカトラー代表補らと約2時間、協議した。

 協議後、記者団の取材に応じた外務省の八木毅経済局長によると、日本側はTPP交渉に関する政府の基本方針や、米国以外の関係国との事前協議の進展状況を説明した。これに対して、米側は、1月13日まで実施した意見募集で各業界から集まった声の中から、自動車や保険、農産品分野の主要なものを例示した。ただ、米政府は「政府としての立場は固まっていない」とし、意見の集約には時間がかかるとの見通しを示したという。

 日本のTPP交渉参加には、すでに交渉を進めている関係9カ国のすべてから同意を得ることが必要となる。日本政府は今年1月から関係国との事前協議を始めており、ベトナム、ブルネイ、ペルー、チリの4カ国から支持を取り付けている。

 ただし米国では、自動車業界が「閉鎖的な市場の日本の参加はTPP交渉を遅らせる」と反対を表明。農業分野では関税の撤廃などで市場開放を迫る声が出ているほか、保険業界は日本郵政の保険販売が政府の関与で公正な競争をゆがめているとして是正を求めている。このため、米との事前協議は、日本にとって最大の難関となっている。

 USTRは日本との協議後、「日本政府はさまざまな問題の前進に向けて米国と協力する用意があることを強調した」とする声明を発表した。次回は2月21、22日にワシントンで実務者レベルの協議を行う。米側が日本の交渉参加について判断を固めても、その内容を議会に通知し、承認を得るまでに90日かかる見込みであるため、交渉入りを急ぐ日本は早期の決着を目指す意向だ。

毎日新聞 2012年2月8日 11時43分(最終更新 2月8日 12時49分)

 

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