富士山が噴火すればどうなるか。1707(宝永4)年の宝永噴火をモデルに政府の富士山火山防災協議会がまとめた被害予想では、周辺の富士宮市や静岡市などを中心に、約1万3600人が暮らす地域を噴石が襲い死傷者が出る。火山灰を吸って健康被害を受ける人は約1250万人、都心にも1cm近い火山灰が積もり大規模な停電が発生する。経済的損失は合計約2兆5000億円となる。
専門家たちを浮き足立たせた3・15から10ヵ月超。現在はその余震も終息傾向にあり、気象庁地震火山部火山課によると「活動自体は平常に戻った」という。
だが琉球大学名誉教授の木村政昭氏の見方は違う。
「表面的には噴火の兆候は見えません。しかし地下は活動期に入っている。私は、すでに火山活動は始まっているとみています」
その言葉を裏付けるような、気になる現象も捉えられている。3・15から続いた余震は一般的な地震と同じ周期5~20ヘルツの高周波地震だったが、今年1月20日頃から急速に減少。一方でマグマ活動が関連しているとされる周期1~2ヘルツの深部低周波地震が23日未明に立て続けに10回以上も発生したのだ。
ただし、火山の噴火は地震と違い、いきなり襲ってくることは少ないという。
「火山の場合は、噴火の前触れがわかりやすい。大きな噴火が迫ると、体に感じる地震が頻発するなど、さまざまな現象が起こるのです」(名古屋大学減災連携研究センター教授・鷺谷威氏)
マグマの上昇がはじまると、岩盤が破られるときなどに衝撃が発生し、大小の地震が群発するのだ。
幸い、こうした富士山の活動は、われわれ一般人でもリアルタイムで知ることができる。独立行政法人防災科学技術研究所がネットで公開している「火山活動連続観測網VIVA ver.2」を見ればいいのだ。
同研究所の火山観測管理室長・棚田俊收氏は、一般の人にも見やすいのは「震源分布図」だろうという。
「富士山の平面図、東西断面図、南北断面図があり、地震がどの場所で、どれくらいの深さで発生したのかがわかります」
震源分布がどう変化するかは噴火のパターンによって千差万別。専門家は他のデータも合わせて噴火を予知するが、私たちでも富士山でどれくらい地震が起きているかは確認できる。
日本全体が動き出した
先の気象庁火山課は、「富士山は安心していいとは、とてもいえない状態。3・11以前すでに、国土地理院が山体が膨張したという、マグマ蓄積の可能性のある動きも捉えています。九州の新燃岳も噴火の1年前から膨張が観測されていました。富士山も、少し気持ちの悪い状況にある」として注視を続ける予定だ。
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