国際的に信頼される正確な放射能測定を目指して、国内にある21施設が国際原子力機関(IAEA)と共同プロジェクトを始めた。協定を結んだ筑波大が3日、発表した。IAEAが放射性物質を含む土壌などの標準試料を、東大や大阪大など各施設に提供。標準試料を測定して出た値と正しい値とを比べ、測定機のばらつきを校正する。
放射能測定値は、放射性物質から出るガンマ線の値をもとに計算して求めるが、一定方向のガンマ線しか測れず、水や土などに一部吸収される。正確な測定のためには、実際に何%のガンマ線を測れるのか事前に考慮しておく必要がある。この前提が正しくないと、誤った測定をすることになる。
これまで日本には、国際的に標準となっているIAEAの標準試料がほとんどなく、十分な校正ができなかった。国内で測定し汚染度が基準値以下とされた茶葉が輸出先のフランスで基準を上回る問題も起きた。
IAEAは福島復興支援の一環として、土壌、水、草などの標準試料を無料で提供した。筑波大を通じて、日本原子力研究開発機構や大学などに配布した。各施設で4月中旬までに測定し結果をIAEAに送る。IAEA側は「正解」を各施設に通知した上、担当者が5月以降に来日し、技術指導を行う。
担当の恩田裕一筑波大教授は「日本発の測定値が国際的に信用されるだけでなく、『本当に正しい測定結果なのか』という一般の人の不安にも応えられる」と話す。(岡崎明子)