政府の原子力損害賠償支援機構は3日、運営委員会を開いて東京電力の西沢俊夫社長を呼び、東電が4月からの値上げを発表している企業向け電気料金について説明を求めた。西沢社長は、値上げ幅について「料金が今回の水準を下回るよう最大限努める」と述べ、いったん値上げをした後、圧縮する考えを改めて示した。
しかし、下河辺和彦委員長は「100%納得したわけではない」と述べ、引き続き説明を求める考えを示した。
東電は企業向け値上げを先月17日に発表したが、不意打ちの発表や生産活動のコスト増に対して政府や企業に強い反発が広がった。このため枝野幸男経済産業相は、総合特別事業計画の策定作業の中断を指示。同30日に予定されていた運営委員会も延期していた。
下河辺委員長は西沢社長に対し「(値上げを)機構に報告する機会がなかったことは極めて遺憾」と表明。顧客の理解や徹底したコスト削減を指示した。
また、委員会後、記者団に対し「(値上げは)寝耳に水。もっと詳細な説明をいただきたい」と不快感を示した。
3日の運営委員会では、原発事故の損害賠償額の増加見通しを受け、東電が昨年末に申請した約6900億円の追加資金支援を了承した。
しかし、最終的な認可権限を持つ枝野経産相は同日の記者会見で、東電の値上げを巡る対応について「(総合特別事業計画や追加支援の認可の)判断の参考材料になる」と述べて不快感を示しており、認可に向けては曲折も予想される。【野原大輔、永井大介】
毎日新聞 2012年2月4日 東京朝刊