校内暴力:「誰も手を出せない」一陣会の実態

「イルチャン」をトップとするピラミッド型の構造

最近は優等生や裕福な家庭の子も加入

 忠清北道清州市では2010年、中学校の卒業生や在校生約70人が、パンツだけをはいて市内中心部を走り回るという破廉恥な行為が行われた。これは高校生の一陣が後輩たちに強要した、いわゆる「卒業パン(卒業式後に行われる暴力行為)」だった。

 「彼女を紹介しろ」と強要したり、性的な接待を求めるケースもある。昨年、大邱市の中学1年の女子生徒Bさんは、3年の男子生徒2人から性的暴行を受けた。加害者は学校の一陣たちの中でもボス格とされる「イルチャン」で、ほかの一陣に命じ、Bさんを空き家に連れ込んで、性的暴行を加えた。このほか、自分と同じ服を着た生徒を見ると「俺に挑戦しようとしている」と見なし、暴行を加えたり、服を奪ったりするケースもある。

 最近は、けんかが強い生徒だけでなく、成績が良い生徒や、裕福な家庭の子ども、遊び上手な生徒、スタイルが良い生徒なども一陣会に加入し、ほかの生徒たちをいじめるケースが増加している。専門家たちは「優等生もいじめの対象になるのを避けるため、強いふりをして一陣になるケースが少なくない」と指摘した。このような生徒たちは、表向きには勉強や学校生活などの面で特に問題がないため、問題行動を追及したり、処罰したりするのも容易ではない。

 政府は6日「校内暴力根絶総合対策」を発表したが、学校内の一陣会の組織を十分にあぶり出すことができるかどうかは疑問だという見方も多い。韓国教員団体総連合会(教総)のキム・ドンソク・スポークスマンは「政府の対策は、一陣による暴力事件が発生した後に処罰を行うことを重視しており、予防策はほとんど講じられていない。一陣と一般の生徒たち全員を対象に、校内暴力の深刻さについての教育を徹底的に行っていくべきだ」と語った。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) 2011 The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>