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知的障害容疑者:取り調べ、民営機関が立会人推薦 長崎地検、初の連携

 知的障害の疑いがある容疑者の事件の取り調べで、長崎地検が、刑務所出所者の自立支援を担う「長崎県地域生活定着支援センター」の推薦する福祉関係者に立ち会わせる試行を始めたことが分かった。福祉専門家などの立ち会いは東京、大阪など4地検で試行を始めているが、検察側が独自に専門家を選んでおり、同センターのような公設民営機関と連携する仕組みは初めて。【長野宏美、梅田啓祐】

 関係者によると、立会人は医師や社会福祉士、精神保健福祉士のほか、特別支援学校などの勤務経験者らで、同センターが地検に推薦する。中立性確保のため、容疑者と直接関わりのある人は推薦しない。推薦された立会人は地検で研修を受けた後、検事が必要と判断した事件で立ち会う。取り調べでは立会人の発言も含め、全て録音・録画されるという。

 検察改革の一環で最高検に設置された「知的障がい専門委員会」のメンバーで、長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」の田島良昭理事長が主体となって提案し、検察側と合意した。同センターが立会人の選任に関わる今回の「長崎方式」の試行について、検察幹部は「地域に密着している福祉のマンパワーを活用すると、捜査にどんなメリットがあるのか見極めたい」と話している。

 これとは別に、今月中にも同センター内に、外部の専門家で組織する「障がい者審査委員会(仮称)」が設置される。検察の起訴・不起訴や、裁判所の実刑・執行猶予の判断をする際に、知的障害者の受け入れ先の確保が大きな課題になっているため、地検や弁護人からの依頼に基づき、同審査委員会が必要な調査や調整を行う。

 田島理事長は「取り調べの立ち会いは公正な捜査を促すのが狙いだが、審査委員会は一人一人の容疑者、被告の適切な居場所を探すのが目的。結果として捜査や弁護、判決の参考になるはずだ」と話している。

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 ■ことば

 ◇地域生活定着支援センター

 刑務所を出所した障害者や高齢者の社会復帰をサポートする機関。厚生労働省が全額補助して都道府県が設置し、運営は社会福祉法人やNPO法人など主に民間に委託している(一部は県直営)。09年1月に長崎でモデル事業として開設され、その後、全国に広がった。

毎日新聞 2012年2月7日 東京朝刊

 
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